高校の「映画を語る若人の部」に入部したプレゼン下手の映子が、毎回好きな邦画を1本トンデモ説明でプレゼンして部長がツッコむ話。
昭和の少女漫画リスペクトな画風。
作者の最長記録を更新する10巻の大台、おめでとうございます。
今巻のあとがきによると、
とのことで、長期で楽しめる作品にしてもらえそうでなによりです。
優れた建て付けとキャラクターで、引き伸ばしが見苦しくなるような作品でもないですし、長く読めるのは素直に嬉しい。
「引き伸ばしが見苦しくなるような作品でもない」
ということは、マンネリが許され、「続きが気になる」類の漫画ではない、といういわば『こち亀』型で、延々やれる反面、
「作者も読者もいつでも降りられる漫画」
ということでもあるので、意外と近々終わってしまうのではないか、とファンとして少し心配でした。
これ「壁ドン」というよりは「四十八手」的なアレでは…w
ネタはほぼ無限に供給され続ける上に、パッションよりも計算で回す作風で面白さも安定して高止まりしてるし、アニメ化・実写化がクッソやりづらいというかほぼ不可能なこと以外は本当に良い漫画作品。
さて。
今巻のお題は
・『3on3』
・『RRR』
・映画を早送りで見る人たち(前後編)
・『キッドナップ・ブルース』
・『映画 おそ松さん』
・『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』
・『グッドバイ マガジンズ』
・『U.F.O.仮面ヤキソバン怒りのあげ玉ボンバー』
・『VR職場』
・『L♥DK』
・『劇場版 名探偵コナン 紺青の拳』
個人的には全部、観たことない映画で、今後観る機会を作ろうと思うのは『RRR』ぐらい。
『キッドナップ・ブルース』は子どもの頃にTVロードショー系で観たような気もしますが、気のせいかもしれません。観たことあるかどうか、ちょっと確認したくなるな。
ビートたけしの『哀しい気分でジョーク』あたりとごっちゃになってる気もします。
唯一、特定の映画作品をテーマにしていない「映画を早送りで見る人たち(前後編)」は時事批評・風刺エピソード。
自分は今のところは「映画の早送り視聴」文化にまったく染まっていませんが、そもそもそんなに映画を観ませんし、それより漫画や活字メディアが好きな理由の一つが
「映画・ドラマ・動画と違って、再生速度を自分でコントロール(速読・精読)しやすい」
なので、あんまり他人のことをどうこう言えないというか、他人が自宅でどんな鑑賞方法で映画を観てようとどうでもいいというか、それを言い出したら漫画になりませんがw
『攻殻機動隊SAC』の名ゼリフならぬ「名やりとり」を思い出します。
「タイパ」の話は、キャッチーなのと言ってる人のドヤ顔感がイラつくせいでバズワード化してるだけで、HTML5の恩恵を感じこそすれ、やってること自体は今更たいして新しい概念でもないというか。
VHS時代にも
「俺は字幕付き映画を早送りで観てる」
ってドヤってる中学生、いましたよねw
数年後には「ポケベルw」みたいに「タイパw」扱いされてそうですけど、雑誌やWEBメディアのゴミみたいな書き捨て記事はともかく、「作品」として時代のディティールまで記録に遺す営みって結構少なくて、そういう意味で『邦キチ』みたいな漫画は貴重だな、と思います。
80年代ぐらいまでの漫画はけっこう「時事ネタ」「CMネタ」「流行語」をダイレクトに作品に描きこんでいたように思うんですけど(あとスポーツ漫画に実在の選手がおそらく無許可で実名で登場してたり)、
最近の漫画は権利関係に対する意識が強くなった他、海外市場とロングテールなどの商業上のスケールも意識するようになったせいか、「流行語」「バズワード」の時事性・地域性を希釈して、「テーマ化」して普遍性を持たせるようになりました。
時事ネタやバズワードをダイレクトに扱う本作は、100年後に
「『タイパ文化』のディティールを語る貴重な参考文献」
として発掘されるかもしれないですねw
あとは。
中峠先輩は主人公たちの「親世代」ですが、
サブヒロインとして可愛らしく感じるのは、自分が中峠先輩より更に年上のおじさんになってストライクゾーンが「上」に拡がった故か、中峠先輩が「恋してる女」としてチャーミングに描かれているせいか。
作品として女子高生と40代女性の描き分けに熱心な画風・作風でもない、というのもある一方、現実の30~50代の女性も昔と比べてチャーミングな方、増えましたよね。
と思ってしまうのは、やっぱり自分の加齢の影響なんでしょうか。
あとはもう、楽しそうに踊ってるヤンヤンが可愛いが過ぎる。
ヤンヤンの担当は「アジア映画」なので、彼女の出番を増やすためにも、アジア映画、特に踊りと強く紐づいているインド映画には、来年・再来年もがんばっていただきたいと思います。
aqm.hatenablog.jp