『SKET DANCE』『彼方のアストラ』の作者の現作。
乙木守仁は、超人的な身体能力を持つ鬼の末裔であることを隠して普通に暮らしていた。
守仁の高校入学を控えた春休み、長期出張で海外へ出発する父と入れ替わりに、魔女の聖地に修行に出ていた幼馴染のニコが帰還。
両家の同意のもと二人は一緒に暮らし、守仁はニコの使い魔として彼女を予言された災いから護衛することに。
6年ぶりに再会したニコは可愛らしく、しかし強力ながらどこかポンコツな魔女に成長していた…
という、幼馴染の鬼ボーイ・ミーツ・魔女ガール・アゲインに、ニコの使い魔となる同居仲間が守仁以外にも天狗、狼男、吸血鬼と増えて、同居日常ギャグ学園ラブコメたまにシリアスバトルな漫画に。
シリアスなバトルもので人気を博したカッコよ可愛いキャラたちの、ギャグだったり緩かったりする日常や恋愛・ラブコメをもっとじっくり見てみたい、というのは人気作であれば多かれ少なかれ発生して、多くの場合その役割は公式スピンオフや二次創作に託されることになるんですが、
「一次創作内で自分で全部やっちゃおう!」
「バトル・ギャグ・コメディ・ラブコメ・日常・ホラー・ファンタジー、少年漫画のジャンルを全部一作品内でやっちゃおう!」
という作品。
ギャグコメディな日常をやりつつ、シリアスに悪役と対峙するバトル要素と、ニコと守仁のラブコメ要素が大きな縦軸に。
こういう作品では、シリアス要素とラブコメ要素の進展がある程度連動して、クライマックスに同時に山場を迎えるのが理想で定番なんですが、前巻でラブコメ要素がけっこう動きました。
「ラブコメの進展とシリアス要素の進展は連動させて、終盤の絡み合って収束させる」
のは「セカイ系」の隆盛以前からの少年・青年向けフィクションの鉄則なんですが、ちょっと油断させられたというか、本作はこれまでシリアス回とラブコメ回が綺麗に分離されてたので、自分は前巻時点で今巻(厳密には今巻相当の連載時点)の展開はまったく予想できていませんでした
「11月」というのを繰り返し読者にインプットした作者の罠に嵌ったというかw
ほへー。なるほど。
魔女の能力「アラート」によって平穏な日常が突然ぶっ壊される感覚を、読者として共有させられる展開。突然訪れるクライマックス。
ラブコメ展開からシームレスに、ジャンプらしいタイマン×4展開へ。
やりおる。というところで次巻に続く。
連載を読んでいるのでこの先の展開も知ってるんですが、このバトルの顛末、その末のこの作品ならではの「作品の味変」も、唸らされるものがあります。
というのはまた、次巻以降で。
なお、本作の第1回キャラクター人気投票の結果も今巻で発表されています。
自分の個人的な好みで思う「順位」とはだいぶ乖離した結果ですが、1位のキャラ含めて「なるほどな」とある種の納得感。
ジャンプ漫画はこの手のキャラクター人気投票の結果が本編の展開に与える影響が少なくないので、その辺も興味深いですね。
aqm.hatenablog.jp
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