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#逃げ上手の若君 11巻 評論(ネタバレ注意)

「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征の現作は、鎌倉時代末期〜南北朝時代〜室町時代初期を舞台にした歴史物。

設定・登場人物は史実ベース。

デビューから3作連続10巻到達は「週刊少年ジャンプ」本誌史上、初めてになるとのことです。

『逃げ上手の若君』11巻より(松井優征/集英社)

鎌倉幕府のトップ・執権として世襲で地位を継いできた北条氏の嫡子の少年・北条時行。しかし、幕府と敵対する後醍醐天皇側に寝返った足利高氏(尊氏)により、鎌倉幕府は滅ぼされてしまう。

北条氏の滅亡により大切なものを全て奪われた時行は、信濃国の国守にして神官の諏訪家を頼りに落ち延び、足利への復讐を誓う。

『逃げ上手の若君』11巻より(松井優征/集英社)

という伝記もの。シリアスに史実を追いつつも、演出としてギャグコメディ色も強い作品。

主人公・時行の持ち味は強い生存本能に基づく逃げの天才。

1335年3月、信濃動乱を経て、時行が歴史にその名を轟かしWikipediaに載るレベルの「中先代の乱」。「為に作品が始まったエピソード」、時行の人生のハイライトの一つ。

『逃げ上手の若君』11巻より(松井優征/集英社)

信濃国での諏訪一党による挙兵、北条時行としての名乗りを経て、進軍を開始、目指すは、京で全国を睥睨する高氏に代わり直弟・足利直義が治める、武家の総本山、鎌倉。

迎え撃つは直義の親衛、関東最強の庇番衆。渋川、岩松、斯波、吉良、上杉、一色、今川、石塔。

破竹の勢いで庇番衆を半壊させ討ちとって、鎌倉の眼前に迫る北条軍を最後に迎え撃つのは、足利尊氏の直弟、当人も「英傑」「俊才」「切れ者」と名高い、足利直義だった。

『逃げ上手の若君』11巻より(松井優征/集英社)

というわけで、中先代の乱、鎌倉入り前のラストバトル。

唯一の弱点が「戦下手」とされる直義は、しかし策士だった…

「戦下手」とされる直義をいかに活躍させるか、歴史に忠実なのか、作者の苦心惨憺なのか、直義ってどんなだったっけ。

今巻で主人公・時行の念願の、鎌倉帰還。

『逃げ上手の若君』11巻より(松井優征/集英社)

堅牢とされる鎌倉がバスケットボールのように奪還され合うのは、ちょっと『銀英伝』のイゼルローン要塞を思い出しますねw

同時に、「魔術師、還らず」の展開も思い出してしまいますが。

思い出すついでに、前にも書いたっけな、主人公の北条時行が美少年というか可愛い男の子で、ビジュアル面でヒロイン枠に片足突っ込んでるんですが、同じく中世代の伝記ものを描いてる、ゆうきまさみの『新九郎、奔る!』でも

『新九郎、奔る!』6巻より(ゆうきまさみ/小学館)

可愛い男の子がヒロイン枠に片足突っ込んでたんですよね。

「武士階級のお稚児さん趣味の時代だったから、伝記もの漫画でそれが再現されるのは当然っちゃ当然」

なんですが、『逃げ上手の若君』の松井優征も、『新九郎、奔る!』のゆうきまさみも、過去作を見ても

『暗殺教室』19巻より(松井優征/集英社)

『機動警察パトレイバー』19巻より(ゆうきまさみ/小学館)

美少女と見まごう可愛い男の子を現代劇でも描いてんですよね。

中世代の伝記フィクションだからお稚児さん趣味が描かれるのか、お稚児さん趣味を描きたいから中世代の伝記フィクションを選ぶのかw

田中芳樹も、美少年キャラのお稚児さん匂わせ的なエピソード好きでしたよね。

『逃げ上手の若君』11巻より(松井優征/集英社)

まあ今どき、美少女と見まごう可愛い男の子が出てくる漫画なんて、珍しくもないっちゃないかw

 

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