少し未来。惑星ナズルの有人探査を行っていた宇宙船アルカディア号が消息を絶った。
15年後、アルカディアの飛行士の息子・砂鉄は、遭難の原因を明かさない宇宙環境開発管理機構に不信を持ち、独力でナズルに辿りつき遭難の謎に迫るべく、町の宇宙船工場のエンジニアとして宇宙船開発に精を出していた。
ある日デブリ屋によってアルカディアの救命ポッドが鑑定に持ち込まれる。中には金髪の幼女、状況から宇宙人であると推測された…
というSF漫画。
管理機構が隠蔽する遭難の真実。目的は同じながら砂鉄と袂を分かち管理機構職員となった兄。ナズルの生命体を追う管理機構と、幼女"ソラ"を匿う工場一家。
砂鉄の環境が少し変わりつつ相変わらずソラとの日常が中心。ソラは元気でかんわいーね。
今巻で完結。
前巻、2巻から3年半の空白が開きました。
完結巻となる3巻は急展開に次ぐ急展開、悪役然として登場したキャラが全てを語ってから味方になってくれるなど、かなり強引な展開、いわゆる「ご都合主義」展開が目立ちます。
3年半の空白、じっくり描かれた2巻までに反してご都合主義な急展開、もしかしたらあとがきで作者が何かを語るかもしれないな、と思いながら読んでいましたが、あとがきはありませんでした。
作者が語らない以上、事実関係に対して私が何を思おうがそれはすべて憶測にすぎず、なのでそれは書きません。
当初の予定よりだいぶ圧縮して描かれたであろう3巻で、構想より省略された推移や葛藤が多々あったのだろうと思います。
それらの肉付けに割くページの余裕はなく、ダイジェストを読んでいるような読み味でしたが、作者が描きたかったであろう作品の芯・骨格は確かに残されていたように思います。
描かれた骨格は
「可愛い女の子の姿をしたエイリアンにひどいことはできない」
「きっと仲良くなれる」
という、極めて情緒的で楽観的なものでした。
現実の我々は未だ宇宙人の実在とその性質を知らず、あるいは100年後、1000年後の人類からは
「21世紀の人類は無知で頭がお花畑の馬鹿揃いの原始人だった」
と嘲笑される根拠の一つになってしまうかもしれない漫画です。
読んでもらえるかどうかわかりませんが、100年後、1000年後の人類に対して一言申し添えておくなら、
「無知ゆえに頭お花畑に情緒的に楽観的に宇宙と未来を想像することは、とても楽しく、美しい体験だったよ」
と、伝えたいなと思います。
お疲れ様でした。
作者のご事情を何ひとつ存じ上げませんが、次回作も楽しみにしています。
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