#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#ハイスコアガール DASH 5巻 評論(ネタバレ注意)

ゲームセンター、特に格闘ゲームに小〜高の青春を捧げた少年少女のボーイミーツガールを描いた「ハイスコアガール」の、

aqm.hatenablog.jp

内容以外に作品のメタにもトラブルに見舞われ紆余曲折ありつつ大団円にたどり着いた名作の、まったく予想もしてなかった続編。

『ハイスコアガール DASH』5巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

まったく予想もしてなかったということは、期待もしていなかったということで、ちょっとびっくりしましたね。

ヒロインは前作の「アテ馬ヒロイン」だった日高小春。サブヒロインながら健気に一生懸命、報われない恋をしてて、人気ありましたね。自分も好きでした。

舞台はあれから10年以上の後、日高小春は28歳。母校である中学校の教師を務め、一般的に学校生活で抑圧される傾向のあるゲーム(『ゲーミングお嬢様』除く)を、抑圧し取り締まる側になっていた…

『ハイスコアガール DASH』5巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

思い通りに行かない教師生活に鬱々とする小春の教師生活、心が通わない生徒たち、不気味な保護者、強権的でシステマティックな上司の校長、他人の顔色を伺うように教師生活を送る小春。

その小春の教師生活の描写・展開がひと段落ついて、前巻からは回想編。

28歳になった小春が「どうなることがハッピーエンドなのか」について、不可欠なのに敢えてここまで隠されてきた「あの後」の彼女たちに何があったかを語る、「待ってた」回想編。

『ハイスコアガール DASH』5巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

高校3年の終わり、大学受験を終え合格発表を待つ小春。

小春の自宅の商店前に設置されたゲーム筐体の撤去に際して「引き取りたい」と声をかけてきたのはハルオだった。

「あの最終回」の後、お互い大学受験もあって疎遠だった小春とハルオは、受験終了と再会をキッカケに再びつるんで街のゲームシーンに繰り出すこととなる。

小春の胸中は、ハルオへの未練、彼の両想い相手である大野への後ろめたさ、二人の仲の進展を知りたい気持ちで複雑だった…

『ハイスコアガール DASH』5巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

小春とハルオの前に突然現れゲーセンを馬鹿にしハルオを馬鹿にする大野ママに対し怒髪天の小春は、

「ハルオは大野に相応しい男である」

ことを証明するために、大野ママとの格ゲー勝負をすることに!

この子、いったい何をやっているの…

自らの新・大学生活の傍ら、浪人したハルオに受験勉強を叩き込む傍ら、対戦相手となる格ゲー素人の大野ママに格ゲーの基礎を教え込む小春。

この子、いったい何をやっているの…

という、状況に流され、一時の激情で自分の幸福とは無関係な厄介ごとに巻き込まれに行く謎展開。

『ハイスコアガール DASH』5巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

まあなんというか、小春らしいw ハルオと大野と格ゲーを馬鹿にされたことに対する怒りや、「二人の恋を成就させたい」が原動力になってんですよね。アシスト体質というか。

小春は小春で、他人のアシストに献身的に全力投球なためか、ハルオとは違った意味で「人たらし」で、前作でハルオと大野を抑圧し続けた根源・大野ママの懐に入り込んじゃってるし。もう小春と大野が結婚したらいんじゃねえかな。

そのまま「アメリカ編」に突入するのかと思ったけど、時制は再び小春28歳の「現在」へ。

状況に流され周囲に振り回され不遇をかこっていた小春ですが、1〜3巻を通じて精神的にブレイクしたことで、アシスト体質が教師を通り越して「プロデューサー」体質に開花、いよいよ周囲を振り回し始めました。

作者が続編の主人公に「日高小春・28歳・教師」に置いた意味が、少しずつ見えてきました。

『ハイスコアガール DASH』5巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

それにしても、ハルオと大野のその後というか「現在」は、頑なに描かれない。

いったい何処で何をしているのか。これで実はハルオ・大野夫妻がけっこう近所に居て小春が週一ぐらいで宅飲みしてたりしたら笑いますがw

 

aqm.hatenablog.jp

aqm.hatenablog.jp