
ゲームセンター、特に格闘ゲームに小〜高の青春を捧げた少年少女のボーイミーツガールを描いた「ハイスコアガール」の、
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内容以外に作品のメタにもトラブルに見舞われ紆余曲折ありつつ大団円にたどり着いた名作の、まったく予想もしてなかった続編。

『ハイスコアガール DASH』4巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)
まったく予想もしてなかったということは、期待もしていなかったということで、ちょっとびっくりしましたね。
ヒロインは前作の「アテ馬ヒロイン」だった日高小春。サブヒロインながら健気に一生懸命、報われない恋をしてて、人気ありましたね。自分も好きでした。
舞台はあれから10年以上の後、日高小春は28歳。母校である中学校の教師を務め、一般的に学校生活で抑圧される傾向のあるゲーム(『ゲーミングお嬢様』除く)を、抑圧し取り締まる側になっていた…
思い通りに行かない教師生活に鬱々とする小春の教師生活、心が通わない生徒たち、不気味な保護者、強権的でシステマティックな上司の校長、他人の顔色を伺うように教師生活を送る小春。
その小春の教師生活の描写・展開が前巻まででひと段落ついて、今巻からは回想編。
28歳になった小春が「どうなることがハッピーエンドなのか」について、不可欠なのに敢えてここまで隠されてきた「あの後」の彼女たちに何があったかを語る、「待ってた」回想編。

『ハイスコアガール DASH』4巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)
高校3年の終わり、大学受験を終え合格発表を待つ小春。
小春の自宅の商店前に設置されたゲーム筐体の撤去に際して「引き取りたい」と声をかけてきたのはハルオだった。
「あの最終回」の後、お互い大学受験もあって疎遠だった小春とハルオは、受験終了と再会をキッカケに再びつるんで街のゲームシーンに繰り出すこととなる。
小春の胸中は、ハルオへの未練、彼の両想い相手である大野への後ろめたさ、二人の仲の進展を知りたい気持ちで複雑だった。
そんな折、意外な人物の登場が小春のハートに炎を灯すことになる…

『ハイスコアガール DASH』4巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)
ハルオのかーちゃん、大野の姉ちゃんもお久しぶり!
「ダッシュ」としては28歳の小春から18歳の小春に時系列が遡って、一冊丸々「18歳の春休み編」で、更に次巻に続きます。
ハルオも18歳になって久しぶりの登場、相変わらずバカすぎて「ハルオが悪い」を通り越して「こんなバカ好きになったお前(小春)が悪い」という気持ちになりますw
「無印」ではハルオがゲームバカすぎて女子に対する恋愛・性愛の感情が見えないところが青春ラブコメとしての生命線だった反面、「こいつ第二次性徴きてないんちゃうか」という感じでしたが、

『ハイスコアガール DASH』4巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)
お前、「セックス」の存在を知ってたのか!!
ハルオの女子(小春)に対する朴念仁ぶりは表面上は変わってないようにも見えますけど、「前回の最終回」を経て「大野に操を立てている」節や、「大野にふさわしい男になるには」に煩悶している節も。
そこへ、今巻終盤に登場した意外な人物との対峙で、迷走していた小春の恋心と情熱が明後日の方角に向かって激しく燃え上がる!!

『ハイスコアガール DASH』4巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)
五代くんをバカにされて損得を忘れてキレてた管理人さんをちょっと思い出しますね。
この続編自体に賛否はあろうかとは思うし、やってることは前作の貯金あっての「続編もの」なのは確かですけど、一方で「最終回の後の世界」は近年の漫画のトレンドでもありますね。
大団円の後にも、まだまだ若い彼女たちの人生は続いていく。
小春の
「彼女持ち相手に後ろめたさを伴ったワンチャン狙い」
「それでも一緒にいたい」
がいじらしく、相変わらずたいして報われてないのが不憫でならない。
「彼女持ちを好きで居続ける」ことの賛否はまあ、あるんでしょうけど、好きでいることが罪でなし、その後ろめたさも彼女は引き受けて葛藤していて、少なくとも「聞こえないふり」「鈍感なふり」でピュアなポジションをキープするキャラよりはずっと誠実で人間らしくて、自分は好ましく思います。
「ご都合主義の反対」とでもいうか、「小春がヒロインであるこの作品の畳み方」のハードルは却って上がってますよねコレ。
マジでこの話どうなるんだろう、どうするつもりなんだろう。

『ハイスコアガール DASH』4巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)
ホント大変な娘だよ…って、お前らお父さんかよ…w
応援しても声は届かなくても、彼らのように彼女を見守って「幸せになれ」と祈らずにはいられない。
やべー、超おもしれーw 次巻は12月を予定とのことで超楽しみだ。
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