#AQM

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#薬屋のひとりごと 13巻 評論(ネタバレ注意)

なろう小説のコミカライズ。

古代中国の華やかな後宮を舞台に、美女ありイケメンありミステリーあり。

アニメよかったねえ、でも終わっちゃって寂しいねえ、というところで、

natalie.mu

2期も放送決定とのことです。わーい嬉しい。

『フリーレン』の2期も、とっとと決定して発表して欲しいですねえ。

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さて。

『薬屋のひとりごと』13巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

人攫いに後宮の下女として売り飛ばされた薬師で毒マニアの少女・猫猫(マオマオ)が、謎のイケメン高官・壬氏(じんし)の引き合いもあって上級寵妃のお付きの下女として、華やかな後宮内で起こる難事件を薬と毒の知識と花街出身の度胸で解決する時代ものの探偵もの。ちょっとラブコメも有り。

ちょっと話それますけど、この作品の後宮の、「人攫いに売られる」「親に売られる」という非人道的・犯罪的なスタートからの、階級社会の中での意外とのほほん牧歌的な生活、意外とめげずにたくましい本人(下女)たち、という「売られちゃったけどそこで割りと楽しく暮らしてます」的な非対称なアンバランスさは見ててちょっと面白いですね。

「昔」のおおらかさ、たくましさ、アバウトさの表現として、意外とリアルだったりするんかしらん。「人権」の概念知らんから諦めがいいのかな。よくわからん。

さて。

ガンガンとサンデーGXでそれぞれ同時にコミカライズされていて、サンデー版も出来物だと聞きますが、間違って読んでない方の続巻を買ってしまわないように気をつけましょう。

『薬屋のひとりごと』13巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

勧善懲悪というよりはヒロインが謎を解いて自分の利害(主に好奇心)を満たしたらそこで終わり(逮捕・検挙が目的ではない)という感じで、「犯人(たち)がその後どうなったのか」は描かれないことが多く、人によってはモヤモヤが残るというか、「大人な幕引き」のエピソードが多めですけど、自分はこれ系のモヤモヤは結構好きです。

毒マニアの薬師が主人公って一見変化球のようでいて、「事件」の舞台は後宮ということもあり、「被害者」「犯人」もその多くが女性で、かつ犯行が(地位を損なわないよう)秘密裏に行われるケースが多いことを考えると、殺人の手段が「毒殺」に偏って主人公が薬師なのは、よく考えたら必然だったんだな、とか思いました。

『薬屋のひとりごと』13巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

作品を貫くモチーフとして、ヒロイン・猫猫と未満恋愛ラブコメを展開する謎のイケメン宦官「壬氏(じんし)は何者なのか」がありますが、前々巻の皇帝家の閨閥の闇(?)に関わるエピソードで、次いで前巻の避暑地のアバンチュールと「壬氏暗殺計画」で猫猫と壬氏が行動を共にしたことで、だいぶ進展。

猫猫はそもそも恋愛不感症気味なのと、壬氏を宦官だと思っていることのダブルパンチで恋愛感情が成立していません。

壬氏も側も宦官を偽装していることで、猫猫を「恋愛対象外」として、「気持ちを封印していた」というよりは「猫猫への自分の気持ちに無自覚だった」という感じでした。

『薬屋のひとりごと』13巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

が、前巻で実は壬氏が宦官ではないことが猫猫に明かされてしまったんですが、相変わらず恋愛不感症な猫猫ではなく、色んな意味で「高嶺の花」の側であるはずの壬氏の方が、恋愛感情のタガが外れてしまったっぽいですねw

「面白れー生意気庶民小娘への片想いを自覚しちゃった悩めるクール系王子様」

という風情で、「いったいこの作品のヒロインは誰なんだ」と思うぐらい可愛らしく艶っぽいw

こういう「高嶺の花ポジの逆転現象」は近年いろんな作品で見られますね。それとも自分が最近意識するようになっただけで、昔から定番なんかな。

恋愛・ラブコメ要素以外では、お話自体は後宮に舞台が帰ってきましたが、「お風呂回」というよりお風呂がらみのエピソードが続いて「お風呂巻」というか、美女たちの入浴シーンが続く眼福な巻。

『薬屋のひとりごと』13巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

なんか今巻、雰囲気が「後宮もの」というより「全寮制お嬢様学校もの」みたいw

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もう一つの軸の陰謀ミステリー要素としては、

・壬氏とその正体をめぐる陰謀劇、正体を隠す理由

・西方の国家の暗躍

に、あと

・後宮内にもう一人いるはずの毒使い

がいたんでしたっけ?に、

・いったん宙に浮いた形の羅漢の再登場

が絡んでくる、という感じでしょうか? あとなんかあったっけ。

後宮内外で起こる事件も、序盤の「人間関係の愛憎や悲喜交々」から徐々に「皇帝家がらみ」「国家間がらみ」の陰謀にシフトしてきている気配がします。

淡々と事件が解決されていた作品序盤と比べて、主要キャラの情緒の描写も徐々にドラマチックに。猫猫以外。

末は壬氏の即位と猫猫の輿入れ(皇后)か、あるいは二人手に手をとっての駆け落ちか、と作品全体のラストをベタな落としどころで予想し始めてしまう頃合いですね。

『薬屋のひとりごと』13巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

壬氏の片想いが成就すると良いですけど、醒めてスレたキャラが売りの猫猫が、恋に落ちる姿が今のところちょっと想像がつきませんねw それだけに、見てみたいけど。

 

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