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#対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~ 7巻 評論(ネタバレ注意)

全寮制のお嬢様学園の高等部に入学してしまった、お嬢様の皮を被った2人の格闘ゲームオタクが出会ってしまったガール・ミーツ・ガール。

前作『柚子森さん』でおねロリ百合を描いていたいたりして、少女をフェティッシュに百合チックに描写するのが特色。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』7巻より(江島絵理/KADOKAWA)

同じ時期に「お嬢様×格ゲー」という同じテーマを描いた『ゲーミングお嬢様』との類似、パクりじゃないのか、パクられじゃないのか、などと言われつつも作者同士は仲良く対談なんかしたりしていましたが、

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その「盟友」「戦友」とも言えた『ゲーミングお嬢様』が先に完結したことで、「お嬢様×格ゲー」ジャンルの現役作品代表に。

全寮制のお嬢様学校で人目を偲んで日夜腕を磨く4人の女子高生ゲーマーが、福岡で開催されるオープン大会に参加。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』7巻より(江島絵理/KADOKAWA)

大会編が前巻で終わり、再び舞台はお嬢様学校と、その寮での生活へ。

前巻は一冊丸々かけて大会中の一試合、火を噴くような対決と運命的とも言える「強敵(とも)」との出会いが描かれて、ゲップが出るぐらい「格ゲー漫画」でしたが、今巻は打って変わって、「練習風景」的なわずかなシーンを除くと、格ゲーやってません。

福岡大会の余波、白百合様の顔出し動画がバズって学内で格ゲー趣味バレ、ついで深夜の練習会バレで寮生会議で退学の危機に。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』7巻より(江島絵理/KADOKAWA)

並行して、てゃ先輩と綾のそれぞれの心に残った、大会の傷跡。

そして白百合様の母親にもバレて強制拉致&強制転校の危機。

という、格ゲーの画面外で多事多難な巻。

スポーツもの漫画定番の

「見せ場は試合巻で、ストーリーが動くのは幕間巻で」

の幕間巻、「引退(退学・転校・出場停止など)の危機編」。

前巻までの大会の描写で「格ゲー女子高生」が好奇の目で見られるシーン、ネットフェミニズム的な誇張表現というよりは「実際そうなるだろうな」と思わされる

「女子プレイヤーの生きづらさ」

みたいなものがチラッと描かれましたが、今巻は

「お嬢様格ゲープレイヤーの生きづらさ」

というか、環境が格ゲーをやることをなかなか許してくれない、的な。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』7巻より(江島絵理/KADOKAWA)

思えば、『ゲーミングお嬢様』は男性キャラが執事のセバスチャン(とMOB)だけの「お嬢様だけの世界」で、かつ「格ゲーお嬢様」が崇拝されるファンタジーな価値観の世界だったな、としみじみと。

前述のとおり今巻、画面外の様々な障害に阻まれて、彼女たち全然格ゲーできてないんですよね。

と言いつつ、退学の危機よりも、転校の危機よりも、前巻で綾が負った傷?の方が読んでて心配だったりしてたんですが、

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』7巻より(江島絵理/KADOKAWA)

「格ゲー以外」で煩わされたことがかえって功を奏したというのか。

言ってることもやってることもメチャクチャなんですけど、好きな格ゲーのためだけに言ってることもやってることもメチャクチャなのが、この漫画というか彼女たちの精神的な健康のバロメーターで、かつ彼女たちの本領、魅力なんですよね。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』7巻より(江島絵理/KADOKAWA)

クッソワロタ。その理屈はおかしいwww

真似できない、真似してはいけない狂気と直情馬鹿ですけど、その狂気と直情馬鹿っぷりが眩しいわ。

「自分の意志で行きたい方へ人生を曲げる小気味良さ」とでもいうか。

 

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