#AQM

あ、今日読んだ漫画

#戦奏教室 5巻 評論(ネタバレ注意)

ビジュアル的にはおねショタなんだけど、精神的にはむしろロリコンでは?という、ややこしい。

5巻は2023年10月の刊です。

面白いとあちこちで評判なので、遅ればせながら。

『戦奏教室』5巻より(空もずく/十森ひごろ/集英社)

歩兵や騎兵が剣や槍で、弓兵が矢を撃って戦う、中世ぐらいの文明レベルの世界、「樹木歴」1294年。

幼くして拾われた傭兵団でラッパ手(ラッパの音で指揮を伝達する、通信兵のようなもの)を務める少年・リュカは、殺し合いと略奪に明け暮れる傭兵団のクソみたいな暮らしにウンザリし、いつか楽師になることを夢見ていた。

いつものように敵軍と遭遇、一人の敵兵の怪物じみた戦闘能力によりリュカも重傷を負うが、最後の力を振り絞ってラッパで自軍に撤退指示を出し、頭から「枝」が生えていたリュカの超常能力が発動、リュカのラッパの音は光となって自軍を撤退成功に導く。

瀕死のところを敵軍の能力者たちに救われたリュカは、音楽を学ばせてもらうことと引き換えに、敵軍だった「教皇領」軍の能力者「枝憑き」として、戦うこととなった…

という、中世ファンタジー世界の戦争もの。

 

『戦奏教室』5巻より(空もずく/十森ひごろ/集英社)

古代(現代の延長線上?)の超技術がアーカイブされた塔ごとに国家を形成し相争う世界観。

「枝憑き」リュカの能力はアレですね、将棋・ボードゲーム・戦争シミュレーションゲームなどでプレイヤーが戦場を俯瞰して駒を動かして勝利するムーブを、盤の中でやる感じ。

ラッパの音がビームっぽい光で視覚化され兵団がそれに従うのも、ゲームっぽい表現。

その他の枝憑きたちの能力も、戦闘特化・走力特化・千里眼特化・重砲撃特化?など、ピンキリ・千差万別っぽく、リュカは歩兵・騎兵・弓兵と能力者である枝憑きを自分の能力で戦術指揮というか操る「棋士」に相当する能力者。

バトル描写としては「駒の能力×リュカの戦術指揮」が醍醐味になっていきそう。

物語的には世界に9つある塔を巡る覇権争い、その中でさっさとラスボス級「枝憑き」を倒して戦争から足抜けして、音楽を学んで念願の楽師になりたいリュカ、という感じ。

「9つの塔」のシンプルな世界観に、能力バトルでは珍しい「戦術指揮に特化した能力持ち」の主人公、と、ジャンプらしく粗いところもありつつ、わかりやすくて拡張性も高そうな、「男の子心をくすぐる」出だし。

 

『戦奏教室』5巻より(空もずく/十森ひごろ/集英社)

敵味方の能力者「枝憑き」たちの能力と人格の顔見世、能力バトルのルール説明、が関数を進めるごとに少しずつ追加されていってます。

【教皇領】

リュカ:ラッパの音を視覚に変換して兵団や「枝憑き」を操る、メタな棋士のような能力 苗木候補「星灯りの枝憑」

デミ:千里眼と、その視界の仲間への共有

ゾーイ:能力の前借りによる短期的な超戦闘力 前借り分の長期睡眠と成長障害のデメリット有り 実年齢(身体年齢)27歳 精神年齢9歳 苗木候補「時編の枝憑き」

ミウラ:自身の動体視力をも超える超人的な走力と跳躍力 ノルマンディー公国出身

ポピー:軽いものを動かす念動力 矢を操って超長距離スナイパー

オスカー:不死身 負傷を重ねると再生能力が落ちていく?塔の効力範囲外では死ぬ(これは当たり前か

コーラ:他人の負傷や病気を自分に移植し、それをまた他人に移植できる 治癒能力

ザヒード:超幸運特化 幸運付付与アイテム・装備などの作成など後方支援型 幸運は「自分のため」だけに発生

塔下(教皇?):死者を蘇生する能力があるが、蘇生者は時間が止まって成長せず傷も治らない 仮面の下の素顔が変化する(保護した枝憑きの旧保護者の顔?) 鏡面の力を入手 塔から死者の生前の情報をダウンロードして自身の姿を変えたり死者の複製体を作り出すことができる

【エリン帝国領】島国

花冠:弾道砲撃かと思ったら隕石落とし、メテオ 射程限界で照準ズレと威力減衰 少女 黒い鎧の戦士の娘

カール:磁力?で金属(武器)を操って攻撃

サラ:弓矢の威力を砲撃のように超強化?

ウード:傭兵 血液を操って武器化・攻撃する

?:触れずに遠隔で物体の重さを操作する能力?

?:黒い鎧の戦士 非能力者 花冠の父親

【ガリア王国領】国王失踪 国王派と鏡面派で内乱

国王:塔下の旧友?失踪理由不明 消滅?

鏡面:王国の英雄 鏡を用いた空間移動・空間断裂の能力

【ノルマンディー公国領】花冠により滅ぼされ現在は帝国の属国

複命の枝憑き:髪の毛などから自身の分身を(実質無限に)生成できる 奴隷兵として帝国に提供中

【その他のルール】

・枝憑きの能力は自領の9本ののどれかを中心に一定距離内(国境付近まで)じゃないと発動できない

・花冠の能力は国ごと吹っ飛ばす力があるが1ヶ月程度の溜めが必要

「枝憑き」毎にあんまり被る能力がない、味方との戦術・敵との相性ともに「組み合わせ」と「応用」が左右する戦術型の能力バトルという感じ。

枝憑きとしてのリュカが既に敵味方の上層部?から、「塔と戦争」に深く根ざした最重要人物としてマークされてるのも気になってましたが、リュカとゾーイが「苗木候補」らしいです。苗木候補がなんなのかは知らん。

枝憑きの能力発動範囲が「自領の塔から一定距離」だと誤解してたんですけど、塔だったら他国の塔でも良いみたい。誤解というか今巻初出情報かな?

今巻は教皇領の枝憑きお披露目と、花冠の隕石落とし阻止のため潜伏先の「奴隷の国」ノルマンディー公国への枝憑き部隊での潜入&サーチ&デストロイ。

『戦奏教室』5巻より(空もずく/十森ひごろ/集英社)

「親の介護」「からの解放」。

「作品のメッセージ」、というほど説教くさくはないんですが、普遍的というのか、読んでるこっちの現実の人生で身につまされるシチュエーションや…思想?ポリシー?がちょいちょい語られます。

『戦奏教室』5巻より(空もずく/十森ひごろ/集英社)

「一歩踏み出す勇気」

の勇気が必要な理由の正体。

他人に言われるのも怖いけど、自分がそのことを認めてしまうのも怖いよねえ。

『戦奏教室』5巻より(空もずく/十森ひごろ/集英社)

30年前の大ヒットTVアニメでは主人公が「逃げちゃダメだ」を連呼してましたけど(それも肯定的に描かれていたかというと疑問ですが)、この作品にはこのコマのセリフの考え方が主人公の登場以来、ずっと通底していますよね。

 

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