動物たちと三頭身の小人(こびと)たちが互いに言葉を通じ合って、社会を形成して暮らす童話のような世界観で、一緒に暮らす2人の女の子を主人公にした日常もの。アニメ化済み。
童話やお伽話に喩えるには生活感がありすぎるけど、その生活感の醸し出す詩情。特に手慣れた料理と食事風景の描写は特筆もの。
私事ですが、この正月休みに大枚をはたいてWin7からWin10移行のためにマウスコンピューターでオプションつけまくった化け物みたいなPCを新調して、ディスプレイもバカでかい4K対応のものに換えたんですが、この別に4K対応しているわけでもない漫画がどんな映像よりも映像美を堪能できる気がする。
「なに?この作中世界に住んでたの?撮ってきた写真見ながら描いてるの?」と言いたくなる、世界観のディティールの隅々まで及ぶ想像力とデザイン力、それを再現する構図、細部までイメージが張り巡らされてものすごい情報量が詰め込まれた緻密極まる超絶描き込み。ネズミ系のファッションのこのバリエーションとセンスは一体なんなの?
ハルタもよくわかってて、どれだけ引き伸ばしても0.1mmの狂いもない見開きのスキャン。これはいい仕事。モノクロながら1ページ1ページをポスターにして部屋中に飾りたい。
お話は、ハクメイとミコチの買い物の一日、飲み屋「小骨」の大繁盛、センと迷子の一日、コンジュの大ファンになったコハル、ネズミ系たちのおしゃれショッピング、シナトのキセル、会長のお宅訪問、ミコチの内緒のお出かけ、ハクメイとミコチの二度寝の一日。
と、事件がましい事件も起こらない他愛のないごくごく普通の、それでいて美しい日常。日常ものは数あれど、世界観といい画といいその詩情といい、世界一贅沢な日常ものかもしれない。
俺の日常もこの作者に描いてもらったら、世界がもっと美しく見えるのかしらん。
紙の書籍と、電子書籍の、良い悪いの比較がよくなされますけど、この作品に限っては電子書籍で高精細の大画面で読むことを是非にオススメします。ページやコマの隅から隅まで、世界と日常はこんなに美しいのかと、まるで自分の視力が上がって空気の透明度も上がって世界がクリアに見えているような錯覚に陥ってしまう。
いやもう、1ページ目からもんの凄いんだから。
aqm.hatenablog.jp