ファイブスター物語、連続掲載継続中。「第6話 時の詩女 インサートエピソード 運命のラキシス7444~大君主バフォメートのまなざし~ジョーカー星団55億年後」。扉絵入れて15ページ。
他の号はこちらから。
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以下、余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。
(宣伝)
ゴーストオブツシマはいいぞ。
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お前らも刀で戦う漫画とか好きな中二病なんだからやればいい。
(扉絵)
耳長アンカーガールのカラー絵。
新型コロナ禍でピンチな、作者行きつけの服屋の紹介テキスト&手描きMAP。プロのデザイナーに向かって失礼な話だけど、地図描くのうめえなw
便乗して自分も行きつけの店貼っとこう。大阪の方はぜひ。
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(本編)
式神オフェロスビュランコートの物質崩壊アタックで灰塵に帰すデモン。ブツクサ言いながら正体を表すアンカーの魔太子ルシファ・センタイマ、デモンが握っていた懐園剣(雌)を再び手にする。呼応するように懐園剣(雄)が太刀様に変化、召喚され顕現したのは星王にして十曜の守護者、マキシマム・カイエン。霊体で現れたクーンと言葉を交わした後、ルシファと雌雄の神剣を交える。
「想像を超える懐園剣の雄剣と雌剣のぶつかり合い−!次号、決着!!」
(ニュータイプ2020年9月号より)
(所感)
マキシに尽きる。
アオリによると次号決着とのことで、次号までが16巻かな?エピローグがもう1〜2話入る感じでしょうか。
式神オフェロスビュランコート。
前号では斜め前からのショットではLEDドラゴンに似て見えましたが、今号の斜め後ろからのショットだとカマキリに似てんなと思った。
物質崩壊アタックの後は「またいつでも呼んで!ズッ友だよ!」と爽やかに退場。名前の割りに気さく。
デモン。
物質崩壊アタックを相殺、部下も避難させる。優しい。
スペクター&ポーター&シルヴィア。
ワンポイント解説。シルヴィアは後に脳みそピヨピヨで解説役から脱落。
懐園剣。
雄も雌も使い手次第で形もサイズも変わる。作り手がバカすぎたせいで剣も何も考えてないらしい。
ルシファ・センタイマ。
豊かな黒髪・猫目・細マッチョで上半身裸の魔性系の美形に。語り口調もフレンドリー。マキシの独り言の間も律儀に待ってくれた挙句「話…終わった?」って可愛い。
クーン。
マキシの語る、クーンの正体。
とても重大なネタバレな割りに、自分あんま興味ないので内容は割愛しますけど、問題はなぜ今この不自然なタイミングでそれが語られたのかということ。
この後の展開の伏線になるのか、「もうこの先、クーンは出てこない」ので「せっかく作った設定がもったいない」ので多少強引でもクーンについて語る「ここが最後のチャンス」だからなのか。
マキシ。
ここまでFSSを読んできた読者ならこの一連の流れでマキシが出てくる可能性は誰しも予想していたことだと思いますが、にも関わらず「出ちゃったか…」と、なんとなく「マキシは多分これで見納めになるかもしれないな」と思いました。
マキシのこれまでの出番と言えば、シルエット等のイメージシーンを除けば、「母親を○しても□してもいけない」と諭されて「エー、なんでヨー」と口答えするファナティックなクソガキの幼少のあのシーンのみで、成人後のマキシは言わば「抜かずの宝刀」のトランプのジョーカーのような扱いで長い間引っ張られてきましたが、2回目の登場はよりによって最終形態のファーンドームの星王様バージョンで登場してしまいましたね。
扱いも描写もここぞとばかりの気合いの入れよう。
肩書きがいっぱいありますが、これまでの作品の歴史上、本名もいっぱい持ってるキャラ。今回「マキシマム・カイエン」を名乗りましたが、この名乗りが文字になるのは初めて見た気がします。姓としては「ハルトフォラス」の他、「バランス」も継いでるはず。他にも「蒔子」とか「MX」とか、似たような名前いっぱい持ってる人ですが、「カイエン」の姓も継いだとしたらちょっとややこしい。
予告された「雌雄の懐園剣」の激突が今回実現しましたが、あれ…「剣聖同士の戦い」はまた別なんですかね?てっきりセットだと勘違いしてました。「ルシファが剣聖」って話は今んとこないですよね?
(番外 姓と名)
ガンダム(宇宙世紀)の姓名
ガンダムの宇宙世紀世界観は基本的に我々の地球の西暦世界の延長で、英語圏の文化に準拠しています。
ので
アムロ・レイ アムロ=名 レイ=姓
です。
「アムロ・レイ」の父親は「テム・レイ」ですし、「ジオン・ダイクン」の子は「キャスバル・ダイクン」と「アルテイシア・ダイクン」です
アジア系(日系)のハヤトについても
ハヤト・コバヤシ ハヤト=名 コバヤシ=姓
です。
宇宙世紀世界観で面白いのは、軍隊で階級付きで呼ぶとき
名(ファーストネーム)+階級 ※もしくはフルネーム+階級
で呼ぶ点です。
「シャア大佐」、「アムロ大尉」、「ブライト中佐」、「マチルダ中尉」、「ジェリド中尉」、「エマ中尉」、「レコア少尉」、「ハマーン様」。
誰もアムロのことを「レイ大尉」とは呼びません。
日本名に置き換えると「ひろし大佐」、「ゆきこ中尉」、「ひろゆき少佐」と、なんか間抜けに感じます。
なんでこういう呼称がUC世界で定着しているのか、富野監督がどういう意図だったのか、自分は現実の英語圏の軍隊の慣習に明るくないのでよくわからないんですが、合理的な面もあって
デギン・ザビ ○デギン公王 ×ザビ公王
ギレン・ザビ ○ギレン総帥 ×ザビ総帥
ドズル・ザビ ○ドズル中将 ×ザビ中将
キシリア・ザビ ○キシリア閣下 ×ザビ閣下
ザビ家のように一族で要職を占めているケースで、「姓+階級」だとザビだらけになって区別がつかなくなることを防いでいます。
これはガンダムというかフィクションに限った話ではなく、王族や貴族、公家や武家、例えば源氏、徳川家などの人物も「頼朝公」、「家康公」、「信玄公」などファーストネームで呼称されることはあまり珍しくありません。
エルガイム(ペンタゴナ・ワールド)の姓名
FSSの原型となり富野と永野の両方が関わったエルガイムは、「ペンタゴナ・ワールド」という我々と違う宇宙・違う銀河の話です。
ガンダムの宇宙世紀と違い、名前も
ダバ・マイロード 姓=ダバ 名=マイロード
と、日本を含む東アジア?と同じ「姓+名」の順番。ダバさん家のマイロード君です。
このため、実はカモン一族(≒コーラス王家)だと判明した後は
カモン・マイロード 姓=カモン 名=マイロード
が本名になります。仮に一族名が山田だったら山田・マイロードです。
奇妙なことに作中では主人公のダバ・マイロードだけが周囲から姓で呼ばれ、引きずられるように視聴者も主人公のことを「ダバ」と呼ぶことが多いです。
ダバ・マイロード → ダバ
ミラウー・キャオ → キャオ
ガウ・ハ・レッシィ → レッシィ
ファンネリア・アム → アム
ギャブレット・ギャブレー → ギャブレー
オルドナ・ポセイダル → ポセイダル
仲間どころか敵の首魁であるオルドナ・ポセイダルでさえ「ポセイダル」と「名」で呼ばれる中、独りダバだけが苗字で「ダバ」です。
なぜ「ダバ」だけが苗字呼びなのか、たぶん時間の尺の制約がある中、「短くて呼びやすいから」ぐらいの理由だったんじゃないかなと思います。
FSS(ジョーカー星団)の姓名
でようやくFSSの話なんですが、富野の影響を離れたせいか、ジョーカー星団では再び基本的には西洋風の「名+姓」に戻ります。
「基本的には」というのは、ジョーカー星団にはミミバ族や泉興京巴など、明らかに東洋風の風俗・文化が一部描写されており、おそらく現在の地球と同じように「名+姓」文化と「姓+名」文化が多様に混在しているのではないかと考えられるからです。
が例外を除いてほとんどの主要キャラは西洋風の「名+姓」です。
バーバリュース・ビィの娘はクリスティン・ビィで、アイシャ・コーダンテの妹はワスチャ・コーダンテです。
ジョーカー星団というよりFSSの複雑なところは、現実の我々も相手との関係によって呼ばれ方が変わる(友人は苗字で呼んでくるし、家族は名で呼んでくる)ように、呼ばれ方が統一されていない点です。
ただそうは言っても、キャラの"通称"はなんとなーく共有されています。王族や貴族の名前は少々複雑で間違ってるところはあるかと思いますが、こんな感じです。
アニメと違い尺の制約がないため、長い名前やフルネーム呼びも多いです。
【名で呼ばれる例】
アイシャ・コーダンテ → アイシャ
セイレイ・コーラス → セイレイ
ナイアス・ブリュンヒルデ → ナイアス
ギエロ・スガスコーニチ → ギエロ
デコース・ワイズメル → デコース
ジャコー・クォン・ハッシュ → ジャコー
女性キャラはこれに当たる例が多いですが、フリーダム系な男性キャラも。ギエロを「スガスコーニチ」と呼ぶ人はいません。
【姓(もしくはミドルネーム)で呼ばれる例】
レディオス・ソープ → ソープ(幼名。家名でなくミドルネーム?)
マイケル・ジョーイ・ギラ → ギラ
ワンダン・ハレー → ハレー
エルディアイ・ツバンツヒ → ツバンツヒ
ママドア・ユーゾッタ → ユーゾッタ
ユーゴ・マウザー → マウザー
軍人キャラが多い印象。ハレーを「ワンダン」と呼ぶ人は作中に登場せず、そう呼ぶ読者もいません。
【ほぼフルネームで呼ばれる例】
ミッション・ルース(歴代ルースと混同を避けるため)
オルカオン・ハリス(ハリス家同士の混同を避けるため)
アルテン・サヤステ(サヤステ家同士の混同を避けるため)
名家の出で、歴史に名を残す立場が多い。
【不定形】
ミューズ・バン・レイバック
→ 読者のほとんどは「ミューズ」、作中では「レイバック卿」とも
クー・ファン・シー・マ → なんだかよくわからない 東洋系?
やっとマキシとカイエンの話
ダグラス・カイエンは【姓(と思われる)で呼ばれる例】の最たるもので、彼を「ダグラス」と呼ぶ人は作中にもファンにもおらず、一様に「カイエン」、もしくはフルネームで呼びます。
「カイエン家」と呼ばれる集団が存在しないため、混同はなく不都合はありませんでした。
実は「カイエン」が姓なのかどうかも眉唾物で、彼はヤーン・バッシュ(ダッカス)・カステポー王女の息子、カイエン・バッシュ(ダッカス)・カステポーであるとする設定もあり、どうも「ダグラス」も「カイエン」も姓ではなく名なのか?という気も。
ところが今回、マキシが「ハルトフォラス」でなく「マキシマム・カイエン」を名乗って「カイエン」を継いでしまいました。
「カイエン」が姓であれ、名であれ、「王家の名前は複雑だ」であれ、「ザビ家、ザビさんだらけ問題」の再来で、五月蝿いことを言えば今後「カイエン」と言ったとき、「ダグラス・カイエン」なのか「マキシマム・カイエン」なのか、区別がつかないことになってしまいます。
「おそらくマキシの出番はそんなに多くないだろう」という前提で、実態としては長年の慣習に従って、作中表記も読者の呼び方もそれぞれ「カイエン」と「マキシ」のままだとは思うんですが、今回マキシが「カイエン」を名乗ったことは、ちょっと意外だった、というお話でした。