ひでえ表紙だ。
父親の借金を背負って臓器を売りながら生き延びてきた野良犬少年デンジ。悪魔ポチタとコンビを組んでヤクザの下で搾取されながら悪魔狩りを営むもヤクザが悪魔に乗っ取られ絶体絶命のピンチ。
ポチタと融合してヤクザを皆殺しにしたデンジは、チェーンソーの悪魔として美少女・マキマにスカウトされ、美少女魔人・パワーと組んで公安デビルハンターとして悪魔と戦っていく。
基本「単行本派」の自分は「FSS」のためのニュータイプ、「ワートリ」のためのジャンプSQ、「かぐや様」のためのヤンジャン、これ以上は購読する漫画誌を増やさないことを自分に課していたけど、前巻のあと結局「チェンソーマン」のために週刊少年ジャンプを10年単位ぶりぐらいに毎週発売日に買うようになってしまった。というか電子の定期購読。電子書籍はかさばらなくて、いいよねw
自分が連載派になってからこういうこと言うのもなんですけど、この漫画は連載でライブで追っかけた方が面白いね。
チェンソーマンとしてTVに映ってしまったデンジを狙う世界各国の殺し屋たちをなんとか撃退したものの、被害甚大な対魔4課。
引換えに束の間の平穏を得たデンジとパワーは、アキの墓参りに付き添って北海道へ。マキマがいよいよ銃の悪魔討伐を計画する中、デンジたちと長く暮らすアキの心にはある思いが去来していた…
明かされる銃の悪魔の秘密、マキマの正体、大国の思惑。不明だった西暦年も今巻で明らかに。あと数えてみたら今巻、キャラがゲロ吐いてるシーンが計6コマ。なんでそんなにゲロ好きなの。
いろいろあった今巻ですけど全部彼が持ってっちゃいましたね。伏線はあったにしろ、そんな展開でそんな描き方する? ひでえ漫画だわ。
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5〜6巻のレゼをヒロインとしたエピソードがとても素晴らしくて、「この作品は今後どんなに失速してもこの6巻を生んだだけで価値がある」と6巻を読んだときに思ったものですが、ちょっともうそれどころじゃなくなったきましたね。たった9冊でなんてとこまで連れてくるんだというか。
前巻はめちゃくちゃでしたけど、今巻はもっとめちゃくちゃで、次巻は更にめちゃくちゃなんですけど、どんどん面白くなっていくのは、つまるところ自分はめちゃくちゃな漫画が読みたかったということなんでしょうか。
めちゃくちゃだった前巻の思い出、既に「あの頃は良かったな…」とすら思えてしまう。
少年漫画の予定調和というか、メタなお約束を無意識にどこか頭の隅に抱えながら「この後こうなるんだろう」とある程度の予断を持ってこっちは漫画を読んでいるんですが、まるでそれらの約束事に反抗するというか、まるでなにかの災厄で約束事に関わる記憶が消されてしまったかのように、約束事の関節を全部反対方向にへし折って粉砕しながら進むストーリー。
連載漫画の最強の武器の一つは「続きが気になる」「早く先が読みたい」という読者の飢餓感だと自分は思うけど、ここ最近の切れ味、予想のつかなさは尋常じゃなく、今なお何を読まされているのかよくわからない、約束されたことが何もない、全身を複雑骨折したような、野蛮に洗練されたフォルムとディティール、ひでえ話にひでえ絵。
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続きが気になるし絶対最後まで読みますけど、もう何がこの漫画のハッピーエンドなのかもわからんし、この漫画にどうなって欲しいかも自分でもうわからんわ。もうコベニちゃんさえ幸せになってくれたらそれでいいわ。
これだけ読者が「見たくなかった」と願った展開を極めて描けるなら、読者自身が知らない「見てみたい」展開を極めて描くのも自由自在なんだろうか。
読者の心象を揺さぶるためのタブーがとても少ない作風、キャラ人気売りの少年誌のリミッターを外したらどんな話を描くんだろうかとか考えてしまいますね。
この人、次作もまだ少年ジャンプで描くつもりなんかしら? と思う反面、リミッター効かない状態で描かれたら俺もうついていけないような気もする。
連載読んで知ってるんで先に言っとくと、10巻も11巻も面白いです。
aqm.hatenablog.jp