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#じいさんばあさん若返る 2巻 評論(ネタバレ注意)

表紙がチェンソー的なマンだ。

長年連れ添った津軽弁の農家の老夫婦・正蔵とイネは、ある夜目覚めると二人とも青年期のイケメンと美女の姿に、特に理由もなく若返っていた。

若返った二人に孫娘ははしゃいで甘え、息子の嫁はときめき、息子は動揺し、老人会はざわついたが、60年近く連れ添った二人はそこまで動じることもなく、しかし少しずつ若返った身体でのかつての日常を取り戻していく。

という理不尽ファンタジーな日常コメディ。

理不尽シチュエーションで起こる楽しい日常、という軽く始まった漫画で、今巻も医者になった息子と面会、家出してきた孫娘の来訪、オレオレ詐欺電話、朝のラジオ体操、

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「じいさんばあさん若返る」2巻より(新挑限/KADOKAWA)

町内対抗運動会、などなど、それは続くんですけど、

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「じいさんばあさん若返る」2巻より(新挑限/KADOKAWA)

※二人三脚です。

メインのテーマは「老いと向き合うこと」で、結構ヘビーでシリアスなテーマで、この作者はこの漫画をどうしていくんだろう、とちょっと気になります。

このまま若いまま再び数十年かけて歳を取っていって息子たちより長生きする? ファンタジーだから実は不老不死になってこのままずっと若いまま? いつか夢のように2人とももとに戻ってしまう? 若返りはしたけど寿命は伸びていないとか?

今巻後半にはじいさんがもともと抱いていた死への恐怖、愛するものとの別離への恐怖が描かれます。

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「じいさんばあさん若返る」2巻より(新挑限/KADOKAWA)

もっと引っ張ってからこういう話を出してくるのかなと思ってたんですけど、そんなに長くこの話を描いていくつもりもないのかな。

彼らの若返りは意図したものでなくメカニズムも不明でコントロール不能で、いつまた浦島太郎の玉手箱を開けたようにじいさんばあさんに戻るかわかったものではなく、仮に永続的に若返っていたとしても、じいさんの死への恐怖や愛するものとの別離は、先延ばしになっただけで、不老不死になったのでもない限りは解決することはありません。

若返りが恒常的なものではない証なのか、この作品の主人公2人は、あらためて互いにときめいているにも関わらず、子作り、夜の営みを行う気がありません。

老いへの恐怖、死への恐怖は多かれ少なかれ誰しも抱くことで、我々は普段なるべく目を逸らして考えないようにしているわけなんですが、コメディタッチに軽くこのテーマに手をつけた作者は、特に深く考えていないのか、それともコメディの見た目に包んで描きたいことがあるのか、この漫画、どうなっていってどうオチをつけるんでしょうか。

「いや、ギャグコメディにそんなマジになんなよw」と言われてしまいそうですねw

結構、早くに完結したりしてね。

 

じいさんばあさん若返る (2) (MFC)

じいさんばあさん若返る (2) (MFC)

  • 作者:新挑 限
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: Kindle版

 

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