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なぜ「#こっち向いてよ向井くん」が、はてなーに刺さらないか(ネタバレ注意)

はてブのホッテントリで話題だったので。

togetter.com

 

b.hatena.ne.jp

Togetterまとめでは「年齢性別問わず刺さる!」なのに、はてブでは「刺さらない」という意見が主流で、ものすごいギャップが生じている。

論点は4つ。

 

1.刺さる/刺さらない

1巻のメインエピソードは1〜4話で「起承転結」になっていて、Twitterで「刺さる」と言っている読者はおそらく「結」の4話で恋愛弱者の主人公が第三者の恋愛マスターに説教されるシーンを指して「刺さる」と言っている。

が、Togetterまとめは「起承転結」の「起」の1話のみを掲載しているため、まだ何も起こっていない。なのに「刺さる」と言われても「?」となる。

1話のみ掲載なのに4話の感想の「刺さる」を一緒に並べるチグハグさのせいで、連載/単行本読者と試し読み読者の間で齟齬が生まれている。

 

2.Togetterまとめ主が編集部

Togetterの規約を知らないので編集部が試し読みと感想をまとめるマーケティング活動のTogetter上の是非は知らない。とぅぎゃったんがブクマしてるんでたぶんルール上はOKなんだと思う。

ただ編集部がまとめた割りに「1.」の観点で雑すぎて、まとめ主が編集部であることと併せると誇大広告みたいに見えてしまって、却ってイメージが悪くなっている。

 

3.米びつに湧いた虫を取る仕事をする派遣社員

第1話に社員の夜食用の米びつに湧いた虫を、夏の炎天下の駐車場に新聞紙を広げて派遣社員が虫をより分ける、という意味不明で奇っ怪な仕事がさらっと描写されている。会社側の立場で見ると、その作業の時間分、派遣会社に払う派遣料金で新しい米が買える。

私の職場でデスクワークで来ていただいている派遣社員にこういう仕事をやらせたら大問題で、最低限プロパー社員がメインでやるのを派遣社員が手伝う協働の形にする(それでも3K労働させるのは気を遣う)が、作者も主人公も当の派遣社員のキャラも特に何も感じていないようだ。探せばそういう職場はあるんだろうけど、そういう探さないとないような環境に「あるある」と共感はできない。

ちなみに、あまりにも意味不明すぎるので何かフォローがあるのだろう、何かのストーリー上の必要性があるのだろう、と思ったかもしれないが、単行本1巻に収録されている第5話まで読んでも特に何のフォローもない。意味不明な上に不要なエピソードな割りに、妙に生々しいせいで「漫画としてのファンタジー」としても成立しておらず、本筋に対する読者の集中力を削ぐ効果しか生んでいないように見える。

今やサラリーマンにとってパワハラは懲罰対象だが、「過去にパワハラで去っていったハケンの皆さん」のコマを読んでも、どうも作者はパワハラ問題を「サラリーマン社会のスパイス」程度に軽く捉えている節があり、労働問題に関心が高いはてなユーザとの相性がとても悪い。

 

4.「やれたかも委員会」との類似

4話まで読むとわかるが、この作品は恋愛弱者となった主人公の錯誤を、第三者の恋愛マスターがビシッと指摘し説教する構成が、少なくとも1巻では採られている。

長編漫画で主人公が固定なだけでやってることは「やれたかも委員会」と同じなので、楽しみ方は主に

・謙虚に女心・男心を学ぶ

・主人公に共感して自己憐憫・自己陶酔のM的な鬱に浸る

・恋愛マスターに共感して恋愛弱者への説教に共感してスカッとして

 自分も恋愛マスターであることを周囲に匂わせアピールする

の3点になるが、それはそれで漫画としてアリだが、かつてホッテントリを賛否両論で賑わした「やれたかも委員会」にとっくに飽きてしまったはてなユーザには既視感というか、古臭く感じるかもしれない。

 

個人的には「自称恋愛マスターが説教しやすい恋愛弱者」として説教されるために生まれた「こっち向いてよ向井くん」のこの主人公を全然好きになれないので、結局1巻5話まで読んだ範囲では自分にも刺さらなかった。

意味も根拠もなく「守る」を連呼する男に「101回目のプロポーズ」の「僕は死にません!」の武田鉄矢を連れてきたような時代錯誤を感じるのは、女性も男性もあんまり変わらない気がする。

 

 

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