38歳の漫画家が大腸癌を患った体験を綴った実録漫画。
あらかじめ書いておきますが、闘病生活に関すること以外に子ども時代の回想シーンで結構キツい両親からの虐待・暴力の描写があります。トラウマ持ちの方は本作を避けるか、該当の章は読み飛ばした方が良いかもしれません。
筆者は女性、既婚者でお子さんはいらっしゃらない、という環境です。
最初の違和感から、初診、病院を変えての検査、急変、告知、手術、術後のリハビリ、抗癌剤の服用、現在までの日常の流れを赤裸々に。単行本化にあたり、医療従事者の監修を受けたとのことです。
実録ものなんで当たり前なんですが、リアルというか生々しすぎて読んでてこっちの腸まで具合悪くなりそう。
自分もいい歳ですし、先日「爆笑問題」の田中さんが、昨年は「アキバBlog」の管理人さんが脳梗塞で倒れられたりしたこともあって、特に自分は独り身ということもあり、病気について昔よりよく考えるようになりました。突然倒れたら自分の場合どうなるだろうかとか。
年に一度の人間ドック受診を欠かさないことと、生命保険の大病系のサポートは分厚く契約はしてるんですが、なにぶん一人なので部屋で倒れたら割りと詰んでるな、という気がします。
本作の作者は、実の両親と初診で受けた病院にこそ恵まれなかったものの、旦那さん、2軒目に受診したゴッドハンド、紹介された大きな病院の医師・看護師、義姉、友人、Twitterの繋がりと、支えてくれる人に恵まれて、病気を患った方にこう言っては不謹慎ですけど、少し羨ましくなります。
結婚って介護相手をキープするためだけのものでは決してないですけど、恋愛の延長だけのものでもなくて、人生を共にするってこういうことだよなーと。自分は基本独身主義ではあるんですけど、やっぱちょっと羨ましいです。ご本人も動揺しつつも冷静で賢明ですよね。
話として聴く、漫画で読むのと、実際に体験することは大違いだとは思いますが、それでもいずれ自分も高い確率で体験するであろうことを、重たい話ながら軽妙に読みやすく追体験ならぬ予備体験できてとてもありがたい。そうは言っても、知識だけでも読み聞きしたことあるのとないのとじゃ雲泥の差ですしね。
病気を患う本人としてだけでなく、身近な人が病気を患って「支える側」の立場に立った際の立ち居振る舞いについても実体験を通さないと気づけないことも多く書かれていて勉強になります。
泣き虫で素敵な旦那さん、こういう人と俺が結婚したいわw
さて、コロナ禍で延ばしてた人間ドックの予約をしよう。