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#BADON 4巻 評論(ネタバレ注意)

オノ・ナツメの現作、煙草が超高級品な「ACCA」世界観、首都・バードンが作品タイトルで舞台。

リコ、ラズ、ハート、エルモの4人の男は、それぞれ犯した罪でヤッカラの刑務所に収容されていたが、国王代替わりの恩赦・減刑で刑期が明け、4人で煙草店を営むべく揃ってバードンへ。前科持ちのハンデを抱えつつ煙草店を開業。

「二度と悪事にもサツにも関わらない人生」を夢見る男たちの商売繁盛記にはならず、良かれ悪しかれ罪を犯した過去がつきまとうハードボイルド風味。

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「BADON」4巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

今巻から冒頭に人物紹介が載るようになりました。ありがてえありがてえ。

今巻はハートと、ヒロイン?のリリーが中心の話。

身寄りがなく4人のアパートで住み込みの家政婦をしている、同じくヤッカラ出身の少女・リリーに、不動産屋のケントからバードン大学のオープンキャンパス「子供大学」のお誘い。

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「BADON」4巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

本人の希望もあって快く送り出した4人だったが、良家の子女が集まる催しだったことが災いし、リリーは新しくできた友達もろとも誘拐されてしまう。

リリーの身を案じたハートは、縁を切りたくて仕方がないはずの、人身売買組織とも繋がりを持つヤッカラ系マフィアに再び連絡を取ることとなる。

そして語られる、彼らが暮らす「ツタ・アパート」の成り立ち。その頃、リリーは…

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「BADON」4巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

という4巻。今巻も単巻でエピソード完結。

これまでの巻と比べて今巻はリリーの身の安全がかかっている分、切迫してスリリングなお話。

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「BADON」4巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

一筋縄ではいかない街、勘違いが生んだややこしい誘拐事件、機転と老獪さによる救出劇。

大人たちの大きな声で言えない過去とその縁が力になって犯人を追い詰めていく過程と、理想に燃える少女が見た社会の現実、大人たちの背中。

対比が良いですよね。

それらすべてが新しい縁を生み、子どもたちの希望や成長に繋がってる終わり方も良いです。

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「BADON」4巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

ハートがイヤでしょうがないはずのことに再び手を出すの、割りと一大決心だったはずなんですけど、なりふり構わず手を出した理由も、それを誇るでもなくモノローグですら黙っている理由も、他人のため子どもたちのため、ってアンタ最高にダンディでかっこいいだぜ。

 

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