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#であいもん 12巻 評論(ネタバレ注意)

京都の老舗の和菓子屋の実家にバンドの夢を諦めて?帰ってきた跡継ぎ息子・和(なごむ)と、実家が事情あって預かってる小学生の女の子・一果(いつか)を軸にした和菓子屋さんの日常もの。

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「であいもん」12巻(浅野りん/KADOKAWA)

元カノや片想いの女子高生や隠れ女装男子と「ハーレムものかよオイ」といいたくなる脇役たちに負けないツンデレ小学生のヒロイン力。和菓子+父娘もの+職人+京都の四季+ラブコメ少々という感じ。

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「であいもん」12巻(浅野りん/KADOKAWA)

行方不明の一果の父親にまつわる謎?と和菓子屋の後継志望の一果の身の振り方が作品を通じた宿題というか縦軸になる感じでしたが、前々巻でしたかね、その辺も無事解決して、折よく一果が小学校卒業を迎え、きれいに完結するには絶好の機会でしたが、そのまま日常クルージングモードで続きましての前巻に続く今巻。

「きれいに完結するには絶好の機会」とはいえ、続いてくれてホッとした読者も多かったんじゃないでしょうか。自分はそうでした。

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「であいもん」12巻(浅野りん/KADOKAWA)

このエピソード好きだわー。

普通、縦軸を消化した漫画は「この後なにすんの?」って感じなりがちですけど、この作品は「この後」からが本番というか、通常クルージングの日常モード回がとても良いんですよね。

もともと面白い作品でしたけど、思わせぶりでもどかしい伏線とその回収から解放されて、今巻とか「え、あれ、こんなに面白かったっけこの漫画」っていうぐらい、自分は楽しく読めました。

レギュラーキャラを中心に一話完結のエピソード群、ヒロインの女の子が可愛らしいので出しときゃ誌面が保っちゃうところをあえて出番を控えめに、エピソードごとに新キャラやサブキャラにスポットを当てて、ドラマチックではないけれど、静かに確実に小さなドラマが描かれます。

人と人とが関わるささやかな美しさ。

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「であいもん」12巻(浅野りん/KADOKAWA)

ちっちゃい子どもから若者、子どもの親世代からじいちゃんばあちゃんまで、登場人物の年齢層の幅に応じて、毎話展開される小さなドラマの幅も今巻もお仕事もの・家族もの・子供の世界ものと広く、世代間の人間関係もたくさん描かれます。

日常ものといえば美少女がいっぱい出てくる(美少女しか出てこない)作品が多く、自分も好きで数多く読んでますけど、この作品で描かれる世代や性別を超えていろんな人同士が関わる日常の微笑ましさは、なにかこう一味違うというか。

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「であいもん」12巻(浅野りん/KADOKAWA)

あー、これもいいエピソードだったなあ。

一話ごとにモチーフになる和菓子が設定されるアクセントというか縛りがあるんですけど、縛りの存在を忘れるぐらい自然にエピソードに溶け込んでいて、充実というのか円熟というのか。ほわっとした画風も作品にマッチしていて良いですよね。

楽しいやら可愛らしいやら微笑ましいやらグッとくるやら、なんかふと気づいたらすごく愛おしい作品世界が出来上がっていて、俺が死ぬまで描き続けて欲しいなあコレ。

 

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