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#姫様“拷問”の時間です 8巻 評論(ネタバレ注意)

国王軍と魔王軍が衝突する世界。

国王軍の王女にして第三騎士団の団長・姫は、意思を持つ聖剣エクス(ツッコミ役)と共に魔王軍に囚われの身となった。

戦局を有利に導くべく、魔王軍はあらゆる手を使って敵の幹部である姫から秘密の情報を引き出そうとする…

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

という、ファンタジー世界を舞台にしたゆるーいコメディ漫画。

タイトルにも作中のセリフにも「拷問」という物騒な単語が踊りますが、中身はストレスなしのギャグコメディ。半分は実質グルメ漫画。

あとはもう黄金のワンパターンの手を変え品を変えの繰り返し。牧歌的で微笑ましい馴れ合いの世界。登場人物が全員なにかしらポンコツです。

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

本来あるべき物語の目的と手段の位相を少しづつズラして転倒させた挙句に目的がどこかに行方不明になるという、モノローグすらボケに回る、ボケにボケを重ねるナンセンスなメタコメディですが、「思考し発言する聖剣エクス」という、食欲の本能を人間と共有しない人外のツッコミ役キャラ配置の英断が、当初の目的からのズレを測る尺度(「ちびまる子ちゃん」のキートン山田役)として機能していて、

エクスの存在によって

「一体なにを読まされているんだ(真顔」

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

「一体なにを読まされているんだw」

に。

エクスがツッコミという仕事をしたりしなかったりするのがまたメリハリを効かせ、エクスがツッコまなかったツッコミ不在の回の投げっぱなしオチが効いてます。

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

なんだよコレw

ナンセンスなメタコメディのバリエーションがどこまで描けるのか読者が見守っているような作品。

読者の空気を読むに敏な作者であり、また読者のリアクションが可視化されやすいWEB連載ということもあり、飽きられる寸前でおそらく完結してしまう作品だと思われ、おそらくエンディングのバリエーションと採用案も作者の脳内で磨かれていることだろうと思いますが、

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

いつか完結することを寂しく思う反面、どんなエンディングを迎えるのか楽しみでもあります。

作画も良いですよね。

今巻の1話目で子どもたちのハンドベルを見守る姫の、慈愛と小さな尊敬に満ちた繊細な表情の表現。

 

 

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