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#逃げ上手の若君 4巻 評論(ネタバレ注意)

「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征の新作は、鎌倉時代末期〜南北朝時代〜室町時代初期を舞台にした歴史物。設定・登場人物は史実ベース。

鎌倉幕府のトップ・執権として世襲で地位を継いできた北条氏の嫡子の少年・北条時行。しかし、幕府と敵対する後醍醐天皇側に寝返った足利高氏(尊氏)により、鎌倉幕府は滅ぼされてしまう。

北条氏の滅亡により大切なものを全て奪われた時行は、信濃国の国守にして神官の諏訪家を頼りに落ち延び、足利への復讐を誓う。

という伝記もの。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

主人公・時行の持ち味は強い生存本能に基づく逃げの天才。

まだ9歳の時行を後見し成長を導かんとする諏訪頼重によって、小〜中のミッションが課されるような展開。

今巻は、信濃国 川中島にて国司の圧政に放棄した諏訪の郎党を落ち延びさせるべく、諏訪の使いとして蜂起の鉄火場へ。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

時行がそこで見たのは、国司への怒りと武士の美学によって、自分と真反対の「死にたがり」と化した武士たちだった…

川中島編は今巻2/3程度で完結、巻の後半はいよいよ鎌倉奪還に向けた新章に繋ぎます。

「武士道」として武士の美学が洗練されていく途中の時代、という感じで出てくる武士たちの美学も様々な中、

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

現代に続く弓術・馬術・礼法の小笠原流の開祖?中興の祖?が本作の当面の絶対的な悪役として登場。

足利氏に対する不屈の抵抗の史実で知られる主人公の価値観を現代ナイズさせて読者の感情移入を図るとともに、当時の武士たちと価値観をぶつからせる建て付け。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

縦軸は当然シリアスなお話ですが、ちょこちょこギャグコメディを挟まずに入れらないモダンな作風と、掲載誌がそうは言っても少年向けの週刊少年ジャンプということもあり、平易に楽しく読めます。

比較的大規模な戦場の描写ですけど、少数精鋭の主人公の郎党それぞれに少年漫画らしいかっこいい見せ場が用意されてます。

少年漫画でコンテンツマイナーな時代・人物の伝記というハンデの中、わかりやすく面白く、正直よーやっとる。

キャラも作者もちょいちょいセンスというか頭がおかしい瞬間あるけどな。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

そのたとえ話、余計わかりにくいんですけどwww

「徒歩」と「トラック」で済む話に「カップル」と「巨大な原付」はどっから出てきたんだよwww

 

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