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#ハクメイとミコチ 10巻 評論(ネタバレ注意)

動物たちと三頭身の小人(こびと)たちが互いに言葉を通じ合って、社会を形成して暮らす童話のような世界観で、一緒に暮らす2人の女の子を主人公にした日常もの。アニメ化済み。

童話やお伽話に喩えるには生活感がありすぎるけど、その生活感の醸し出す詩情、特に手慣れた料理と食事風景の描写は特筆もの。

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「ハクメイとミコチ」10巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)

前巻からきっちり1年後の10巻。

音痴を気にして人前では絶対歌わないハクメイが雨宿りの軒下で油断して鼻歌を歌っているところに遭遇したのは、よりによってマキナタが誇る歌姫だった。「雨宿りと鼻歌」。

フリーながら石貫會の「ほぼ専属」状態のハクメイに腕を見込まれて降って沸いた引き抜き話。「師弟と風車」。

以前に行きそびれた温泉宿で慰労女子会、湯けむり温泉回だ! 前後編「労いの宿」、「湯煙の夜長」。

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「ハクメイとミコチ」10巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)

人見知りの美容師が気風と威勢の良さで知られる港町を訪ねる。「初めての港町」。

旅に出る者に贈られる、ハクメイたちが被っている「あの帽子」の由来。「空色の種帽子」。

ハクメイの旅、エピソードゼロ。「昔の話」。

 

今巻も良エピソードに素敵描写満載のウェルメイドなファンタジー日常もの。アメイジンッ!

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「ハクメイとミコチ」10巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)

温泉回が

温泉でも行こうなんていつも話してる 落ち着いたら仲間で行こうなんてでも

「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜」より(作詞:小室哲哉)

って完全に「WOW WAR TONIGHT」なんですけど。

変わらないようでいて、少しづつ変わっていく日常、でもその中で変わらないもの。

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「ハクメイとミコチ」10巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)

日常ものの物語の不在を補って余り在る、一コマ一コマがまるで絵葉書のように美しく、想像力を掻き立てられる背景。

いいえ、「物語の不在」なんてとんでもない。

見落として忘れてしまうそうな小さな物語の連なりや積み重ねが、彼女たちの日常を形作っている。

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「ハクメイとミコチ」10巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)

たぶん私たちの日常も。

 

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