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#ルパン三世 異世界の姫君 2巻 評論(ネタバレ注意)

至宝「存在しない国の金貨」を盗みに入ったルパン三世一味は、盗みは首尾よく成功したものの、ICPO銭形警部の追跡を振り切るためにバラけたところで、それぞれが潜った扉を通じて中世ファンタジー異世界へ。

アイソプミア王国。

人間とエルフとドワーフの3つの種族による協定で成り立つ連合王国。しかし王宮は怪しげな魔女に壟断され、王国中を陰謀の影が覆っていた。

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「ルパン三世 異世界の姫君」2巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

次元はドワーフの里で、五右衛門はエルフの森で、それぞれモンスターを退治するなどしつつ現地に馴染みつつ仲間との合流を目指し、亡命同然に家出し連れ戻される途中の王女を行きがかり上の都合で誘拐したルパンは、彼女の依頼で国盗りを目指すこととなった。

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「ルパン三世 異世界の姫君」2巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

という、ルパン三世のお馴染みの一味が銭形ごと異世界ファンタジー世界に転移してしまうコミカライズ。

ラノベ・なろうっぽいですけど、登場するキーワード的に「ドリフターズ」の方が読み味近い感じです。

バラバラに転移したルパン・次元・五右衛門がそれぞれ旅の伴侶となったヒロイン(王女・エルフ美少女・ドワーフ美少女)を伴って合流、銭形警部もやってきて騎士団と共にルパンを追い、不二子は悪い魔法使いが牛耳る王宮に潜入して虎視眈々と漁夫の利を狙う、といつもの体制に。

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「ルパン三世 異世界の姫君」2巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

襲いかかってくる石のガーゴイルを背負い投げでぶっ壊す銭形。

「ルパン三世」の話のバリエーションは複数ありますが、本作は「カリオストロの城」と同じく「異邦人型」とでもいうか、ルパン一味自体の人間性を掘り下げることはあまりせず、ゲストキャラの悪役と対峙する同じくゲストキャラ・影の主人公ヒロインを支援するデウス・エクス・マキナの役割を果たすストーリーです。(エピソードによってはルパン一行の誰か自身を掘り下げる別の型も在ります)

いろんな作家がコミカライズやアニメ化しますけど、「異邦人型」では後の作家も同じ条件で話を作れるよう、デウス・エクス・マキナとしての「ルパン一行」の在り方は不可逆な弄り方しちゃダメなんですよね。

最後は「ゲスト=影の主人公」は問題が解決して成長し、ルパン一行は「元通り」にならないといけない。

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「ルパン三世 異世界の姫君」2巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

一番ファンタジー向きで無双してる五右衛門。

クレジットの「エム・ピー・ワークス」がたぶんモンキーパンチのプロダクションで「ガンダム」に対するサンライズのように世界観を管理しているはずで、コミカライズの時点でたぶん

エピソードが終了した時点で

・ルパン一行(ルパン・次元・五右衛門・不二子・銭形)の誰かが死ぬなどしてメンバーから欠けていてはいけない

・ルパン一行は歳を取ってはいけないし成長してもいけない

・ルパンと不二子は結婚するなどしていてはいけない

・次元と五右衛門も結婚するなどしてはいけない

 ※これらの状態はエピソード中に解消されていればセーフ

・ルパン一行は全員、最後にその地を去らなければいけない

・レギュラーメンバーを勝手に増やしてはいけない

などの取り決めがされている(読者も無意識にそうあるべきだと思っている)はずで、ルパン一行は既に「キャラが勝手に動いてくれる」キャラとしての「ルパンたちらしさ」の言動の縛りがあるので、それ故に物語に変化をつけるのはゲストキャラである悪役と、影の主人公である3人のヒロインズなんだろうな、と思います。

ルパン一行の見せ場を除くと、この漫画が面白くなるかどうかはヒロインズの成長と活躍にかかっているので、がんばってるけどもっとがんばれ!という気持ち。

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「ルパン三世 異世界の姫君」2巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

ルパンたちがルパンたちらしい「いつもの活躍」しか許されない以上、このコミカライズが終わった時に「あのヒロインたちが良かったよな」とクラリスのように思わせる活躍をしてほしいですね。

 

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