なろう小説のコミカライズ。古代中国の華やかな後宮を舞台に、美女ありイケメンありミステリーあり。
人攫いに後宮の下女として売り飛ばされた薬師で毒マニアの少女・猫猫(マオマオ)が、謎のイケメン高官・壬氏(じんし)の引き合いもあって上級寵妃のお付きの下女として、華やかな後宮内で起こる難事件を薬と毒の知識と花街出身の度胸で解決する時代ものの探偵もの。ちょっとラブコメも有り。
ガンガンとサンデーGXでそれぞれ同時にコミカライズされていて、サンデー版も出来物だと聞きますが、間違って読んでない方の続巻を買ってしまわないように気をつけましょう。
勧善懲悪というよりはヒロインが謎を解いて自分の利害(主に好奇心)を満たしたらそこで終わり(逮捕・検挙が目的ではない)という感じで、「犯人(たち)がその後どうなったのか」は描かれないことが多く、人によってはモヤモヤが残るというか、「大人な幕引き」のエピソードが多めですけど、自分はこれ系のモヤモヤは結構好きです。
毒マニアの薬師が主人公って一見変化球のようでいて、「事件」の舞台は後宮ということもあり、「被害者」「犯人」もその多くが女性で、かつ犯行が(地位を損なわないよう)秘密裏に行われるケースが多いことを考えると、殺人の手段が「毒殺」に偏って主人公が薬師なのは、よく考えたら必然だったんだな、とか思いました。
今巻は、前巻の皇帝家の謎に迫るエピソード「選択の廟」の後編から。
その後は、現皇帝の母、皇太后が登場。
ご多分に漏れず皇太后も猫猫に相談事が。
これまで後宮内の貴妃や侍女たちに関わる難事件を解決してきた猫猫ですが、ここに来て怒涛の皇帝家そのものにまつわるエピソード群。
皇太后の相談事、それは
「自分は先帝を呪い殺してしまったのか」。
今巻はちょっともの凄いですね。
皇帝家の閨房の、華やかながらもおぞましい闇に猫猫がスリリングに迫り、先帝の悪癖、そしてその母だった女帝の妄執、皇太后の野心、彼ら彼女らの行いが結果的に遺された皇帝家の者たちの人生に昏い陰を落とす。
1巻以来、ずっと謎であり匂わされてきたイケメン高官・壬氏の素性も今巻でほぼ明らかに。
壬氏の正体が気になるみなさーん! コミカライズ11巻まで読めば明らかになりますよー!
こうなってくると「本当に宦官なのか?」も気になってきますね。
センシティブかつ下品な疑問ながら、猫猫とのロマンスの可能性の構成要素としては割りと重要。
後宮ミステリーで皇帝家の閨房と出生にまつわるスキャンダルをテーマにしたエピソードを描いちゃったら、もう作品終わりじゃないの?と読みながら思っていた反面、Amazonのレビューには次巻以降こそ更に過酷なエピソードを匂わせるコメントも。
後宮ミステリーの醍醐味、最高潮。
やー、面白れー面白れー。
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