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#幼稚園WARS 5巻 評論(ネタバレ注意)

国によって極秘で運営され、収監された凄腕の元・犯罪者たちを釈放・減刑と引き換えにボディガード兼「幼稚園の先生」として有期雇用し、誘拐や暗殺の対象にされる良家の子女を預かって護衛する、「世界一安全な幼稚園」。

元・伝説の殺し屋、囚人番号999、リタも、幼稚園教諭として子どもたちを日々護衛しながら、1年間の年季が明けて自由の身になることを、そしてイケメンの彼氏を作ることを夢見ていた…

『幼稚園WARS』5巻より(千葉侑生/集英社)

という、「殺し屋×幼稚園の先生」なハードボイルド・アクション。名物編集「林士平」印。

昔、シュワルツェネッガー主演で凄腕刑事が潜入捜査で幼稚園の先生になる『キンダガートン・コップ』という映画がありましたが、あれに倣えば「キンダガートン・アサシン」という感じ。

同じ「林士平」印の『SPY×FAMILY』は言うに及ばず『子連れ狼』の昔から、「ハードボイルドと幼児」は意外と相性が良いですね。

『幼稚園WARS』5巻より(千葉侑生/集英社)

なんだこの見開き。

林編集作品らしく勢い・スピード・テンポ・ギャップ優先、無敵ヒロインでバトルというかガンアクションシーンもどこかコミカルに。

今回は園長のお使い、若手の教諭たち「たんぽぽ組」で来たる激戦に備えて武器の調達のために、浅草へ。

なんでだよ。

『幼稚園WARS』5巻より(千葉侑生/集英社)

浅草は祭り関係の職人の町だったが、住民はほぼ全員副業で殺し屋を営んでいた。

なんでだよ。

敵に雇われた浅草在住の殺し屋たちが一斉に襲いかかる中、特に金魚屋兄弟は強敵だった…

もともと殺し屋ものとしてもバトルものとしてもラブコメとしても珍妙な作品ですが、その作品の中ですら更に珍妙な巻。

「お使い」「お出かけ」で園を離れるサイドストーリー的なエピソードで本筋への寄与度が薄い上に、普通の紙製の金魚すくいで弾丸を受け止める珍妙な殺し屋。

『幼稚園WARS』5巻より(千葉侑生/集英社)

紙製の金魚すくいで弾丸を止めるのは確かにすごいけど…普通の武器使った方がもっと強いんじゃね…

唐突な見開きでバトル⇔ラブコメ⇔ギャグの緩急を力づくで強引に転換するスムーズじゃなさすぎる理不尽な作風、人体で喩えたら「一歩ごとに複雑骨折を起こしながら9秒台で走る100m走」というか、クルマで喩えたら

「カーブの度に交通事故を起こしながらじゃないと曲がれないけどすごい速いクルマ」

のような漫画。

テンドンというか出オチというのか、5巻にもなると手の内がだんだん見えてきてるんですけど、作風の理不尽さがなんかちょっとクセになっちゃいますねw

あと、このセリフは良くないね。

『幼稚園WARS』5巻より(千葉侑生/集英社)

生死の際のギリギリのところで

「イケメンとつきあって幸せになるまでは死ねない」

という希望 or 欲望 or 願望が、「伝説の殺し屋」としての経歴を持つヒロインを支える力のもう一つの源になってるんですけど、つまりは、

「イケメンとつきあって幸せになれた後は…」

というわけで、展開の交通事故を愛でるような、こんな勢い任せで理不尽ナンセンスギャグ漫画?のくせに、シリアスに嫌な予感がして暗然としてしまう。

『幼稚園WARS』5巻より(千葉侑生/集英社)

「何を見せられてるんだ…」ってこっちが言いてえよwというか、見開き一枚絵としてのセリフと表情とエフェクトとリアクションの噛み合ってなさ、アホなAIが描いた漫画みたいになっててすげえなw

「シリアスに嫌な予感がして暗然としてしまう」

とか書いた俺がバカみてーじゃねえか。

 

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