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#その着せ替え人形は恋をする 12巻 評論(ネタバレ注意)

祖父の弟子として雛人形作りの職人を夢見て修行中も、趣味がなくぼっちな男子高校生(15)と、スクールカースト最上位だけどオタク趣味のコスプレ好きで裁縫下手なギャル(15)のクラスメイトのボーイミーツガール。

ひょんな縁でギャルに衣装の講評を頼まれ、ガチでダメ出ししたら泣かれて土下座で謝った流れで、コスプレ衣装を作ってあげることに。

『その着せ替え人形は恋をする』12巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

青年誌に載っちゃった少女漫画というテイで、少女漫画の絵だけどテーマがテーマだけに青年誌のヤングガンガンだけに、着替えシーンやエロコスも多く読者サービス多め。

高校生の恋愛未満の男女が主人公のコスプレ青春もの、ということで、テーマがジャンプ+の1年後発の「2.5次元の誘惑」とバチくそカブってんですけど、

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まあしょうがないよねっていう。

割りと熱血少年漫画フォーマットのあっちに対して、こっちは絵も作話も少女漫画的なアプローチで、似たようなモチーフでも出方は違うもんだな、と読み比べてみると面白いです。

アニメ化済の人気作品。アニメも出来物でしたね。

前巻から新エピソード「冬コミ編」へ。

『その着せ替え人形は恋をする』12巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

作中作漫画『天命』とその作者「司波刻央」が異様なほどフィーチャーされ、自身の能力と同じく他人への要求も高く完璧主義の作家と、キャラのコスプレを挟んで職人としての五条くんが対峙する展開に。

表紙こそクリスマスカラーの海夢の可愛らしい笑顔で、作中でもクリスマス時期に二人の仲の進展に気合いが入る海夢が描かれますが、肝心の五条くんはそんな海夢すら眼中になく、作家・司波刻央とその作品『天命』という今回のコミケのコスプレモチーフと対峙する、クリエイターの終わりのない葛藤と深い孤独と絶望が描かれます。

『その着せ替え人形は恋をする』12巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

一冊の中で、高校生らしい恋愛少女漫画のラブリーな世界と、狂的に求道的な創作者・職人の孤独な世界が、交錯せずにすれ違いっぱなしのような巻。

表紙に反して、白文字モノローグの背景に真っ黒なコマがとても多いです。

ちょっと異様ですよね。

五条くんにとって、というよりこの作品やこの作者にとって、作家・司波刻央『天命』とは一体なんなんだろうか。

『その着せ替え人形は恋をする』12巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

まるで作中の作家・司波刻央が

「創作のために家族(五条くん)を捨てた父親」

という超克すべき因縁でもあるかのような。(そんな描写はないです)

一応、コスプレ創りが今巻で終わって、次巻から冬コミ本編かな?

五条くんが創った入魂のコスを見て、他人の才能を見下す司波がどんな吠え面を見せるのか楽しみです。ってそういう漫画じゃねえよというか、

『その着せ替え人形は恋をする』12巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

「着せ替え人形の恋」は一体どこへwww

孤独な創作モードに入った五条くんが、まったく海夢を顧みずに創作に没頭して、まるで「家庭を顧みない昭和型の仕事人間」のように恋愛的には最悪ムーブかましてるように描かれているのもちょっと気になりますよね。

「クリエイターもの」展開に押されてラブコメ展開を先延ばしにされるヒロインがちょっと可哀想になってきましたけど、ヒロインが海夢だから保ってるというか、

『その着せ替え人形は恋をする』12巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

可愛いなw 五条くんより海夢の方が難解げな『天命』の本質を掴んでるっぽいのも、ちょっと気になるね。

 

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