中年男とファムファタールな女子高生ヒロインの「禁断の性愛」を、コケティッシュかつマイルドなサイコホラー風味に描いた、前作『娘の友達』で好評を博した萩原あさ美の新作は、「魔性の女」ものの編集者漫画・漫画家漫画。
大手出版社の漫画編集部で7年目の編集者・縦山は、これまで編集者のキャリアでヒット作に恵まれなかったが、前任の担当者の「体調不良」により、大ヒット作持ちかつ「美人漫画家」として高名な漫画家・横沢の新連載の担当を任されることとなった。
ヒット作を飛ばし名が売れ始めている漫画編集の同期との差を縮めるべく、喜び勇んで横沢の自宅兼スタジオを訪れた縦山を待っていたのは、部屋で一人空腹でぶっ倒れている女だった…
で始まる、前作と同じく「魔性の女」もの。
平たく言うと横沢は、甘いルックスの下にストーカー気質と共依存ヤンデレを隠した、距離感バグった色仕掛け系のクズだった。
「距離感バグった」と「クズ」は、自分の感想じゃなくて作中の横沢のアシスタントの証言です。
あー、「魔性の女」バリエーション、そっちにいっちゃったかー。
担当編集のプライベートの色恋沙汰にちょっかいを出して、その悲喜交々を漫画作品の肥やしにすることに何の良心の呵責も感じず、ちょっかいのためには自分の体を使った色仕掛けも辞さない、サイコさん系ヒロイン。
1巻でサイコさんであることは割りとオープンに開示されているので、意外性と言う意味では
「でも本当は純粋無垢でいい娘なんだよ…」
という風に明かして(もしくは錯覚させて)いくのかな、とか考えてしまいますが(ファムファタールってそういうものですし)、ここから
「実はアブなくない、いい娘」
なんて一発逆転ありえるか?
可憐なイメージの登場から徐々にアブなさが開示されていった前作『娘の友達』のヒロインと違って、本作ヒロインは初っ端から全開でエロくてアブないので、どうしていくのかな、と。
美しさ可愛さエロさより、アブなさが先行するヒロイン像で、ちょっとこのヒロインに惹かれていく(のであろう)主人公に、読んでるこっちはどこまで感情移入できるかな?という不安はあります。
タイトルの『編集の一生』というタイトルがある程度先々や結末を規定しているというか、
①横沢の担当編集として精神的SMのような関係で一生添い遂げる
②横沢の担当は離れた後も縦山の編集としての人生は続いていく
③数巻ごとに担当する漫画家が替わる(ヒロイン横沢は退場?)
など、何パターンか思い付きます。
タイトルに「〜の一生」とあると、主人公の死か、少なくとも老境で物語を終える「んだろう」とつい思ってしまいますが。
ヒロインの漫画家・横沢の「下の名前」が意図的に隠されているのもなんか意味あるんかしらね、とかも。
今作も引き続き、エロ可愛いコケティッシュなヒロインのビジュアルには鼻の下を伸ばしつつも、精神的にはラブコメというより「怖いもの見たさ」で読む作品になりそうな感じ。コワイヨー。
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