#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#BULLET BALLET BAD GIRLS 1巻 評論(ネタバレ注意)

BULLET:銃弾

BALLET:バレエ

で、「銃弾で踊るダークヒロイン」って感じでしょうか。

複数形なんで、他にも殺し屋ヒロインが出てくるんかな。

1コマ目で「十字架」と書いて「ロザリオ」、「引鉄」と書いて「トリガー」、「連撃」と書いて「バースト」と読むポエムを詠んじゃう。

『BULLET BALLET BAD GIRLS』1巻より(伊賀智輝/リイド社)

これだけでもう、どんな漫画か想像ついちゃいますねw

想像ついちゃうついでに、単行本のオビは『ブラック・ラグーン』の広江礼威による、とのことです。

経済特区として全国各地に海外資本による独自の貿易港の開港を許可して3年、海外マフィアの流入とその抗争の舞台と化した平成37年、日本。

『BULLET BALLET BAD GIRLS』1巻より(伊賀智輝/リイド社)

抗争を繰り広げる組織の間で、ある幻の殺し屋の名前が口にされるようになった。

殺し屋の名前は「踊る死神(ダンスマカブル)」、その正体は謎のシスターに殺しの腕を買われて香港で拾われ、現在は日本の神学校に通う女子高生、佐藤史香だった。

という、殺し屋ハードボイルドもの。

殺し屋ものは漫画に限らず昔から人気コンテンツですが、近年は特に増えてる気がします。

aqm.hatenablog.jp

フィクションに対してもポリコレが叫ばれる中、バイオレンスというか、「人を殺しても当たり前(許される)職業」であることが、「アクションもの」と相性が良いんかな。

『BULLET BALLET BAD GIRLS』1巻より(伊賀智輝/リイド社)

ただ、近年は「殺しと日常の対比」というか、「ハードボイルドとコメディ」の対比というか、ユルさを伴ったコミカルな「殺し屋コメディ」や「殺し屋&ファミリーもの」が多いですね。

本作は主人公ヒロインに美少女を配した以外はユル要素・コミカル要素のない、近年珍しい(?)本格ハードボイルド志向。

オビを書いた広江礼威の『ブラック・ラグーン』や、『デストロ』あたりと同じ方向を指向している漫画。

ギャップという意味では「敬虔な神学校の女子高生が、殺し屋」ぐらい。

『BULLET BALLET BAD GIRLS』1巻より(伊賀智輝/リイド社)

殺し屋稼業の経済的な合理性を考えると、ちょっと首を捻るところがなくもないです。依頼人を攫われた挙句に最終的に救出して入金させてから射殺しちゃう殺し屋、商売の継続性考えたら、ダメでしょw

ただ、最近「殺し屋漫画」をたくさん読んでいると、まず「殺し屋」であること在りきでその理由がおざなりというか、

「殺し屋のモチベーションってなんだろうか」

「生活のため?」「復讐のため?」「使命感で?」

「成り行き上、他に選択肢なんかなかったから?」「殺すのが好きだから?」

などなど、空白な分、考えちゃう作品が多いんですが、この作品は主人公ヒロインの

「殺し屋でいる理由、モチベーション」

にとても重点を置いていて、なんかツボにハマりました。

このヒロインは、モチベーションの持ち方が「俺より強いやつに会いに行く」的な「ロマン系」というか、『修羅の門』系というか。

『BULLET BALLET BAD GIRLS』1巻より(伊賀智輝/リイド社)

天職に就けてよかったね!っていうw

戦闘中の心理描写も、「殺し屋の仕事」というよりは戦闘狂というか格闘バカというか、自分は殺し屋でもガンスリンガーでもアウトローでもないですけど、

「磨いて培った(レベルを上げた)技を、相応しい相手に存分に振いたい」

という気持ちは、まあわかる。

逆にヒロインのモチベーション以外には、登場キャラに人間味をあまり感じないと言うか、どこかぎこちなくて「役割を演じている感」があります。「ヒロインを踊らせるための装置」っぽいというか。

ヒロイン以外だと暗殺業サポート役の羽生さんの「仕事でやってる感」は、リアリティがあって良いですね。「感情移入」という意味では、登場人物がアウトローばかりすぎて、羽生さんぐらいしか感情移入先がありませんw

ちなみについでに本作ヒロインの銃はM9(ベレッタ92)系でサプレッサーは使用しませんが、

aqm.hatenablog.jp

「対戦相手」の元ロシア軍特殊部隊の殺し屋が「スペツナズ出身」の設定で、使用する銃も消音仕様の特殊拳銃で、作動音のみの「カッカッカッ」という銃声。

『BULLET BALLET BAD GIRLS』1巻より(伊賀智輝/リイド社)

近年「殺し屋もの」が増えた割りには近年珍しい本格ハードボイルド志向で、続巻が楽しみです。

ユルさとギャップの殺し屋ものも良いけど、「十字架」と書いて「ロザリオ」、「引鉄」と書いて「トリガー」、「連撃」と書いて「バースト」と読むポエムを詠んじゃうセンス、嫌いじゃないというよりも、このぐらいのケレン味のアクが強い殺し屋漫画がちゃんとないと、ちょっと物足りないよね。

なんかこう、

「人を殺した心情」

「他人の人生を終わらせた瞬間」

「反対に自分が死んでいたかもしれないという感慨」

に感傷的なポエムを織り交ぜる感じ、妙にリアリティを感じませんか。

「リアリティ」って「似合う似合わない」の問題ではないけど、『エリア88』とかハードボイルドものに似合いますよね。

あ、美少女ヒロインですが、恋愛・ラブコメ要素はゼロです。あとヒロインのポリシーで学校の制服のまま「仕事」をしますが、アクションシーンでもパンツは見えません。

一応、念のため。

 

aqm.hatenablog.jp

aqm.hatenablog.jp

akibablog.blog.jp