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#戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル 2巻 評論(ネタバレ注意)

昨年、TV放送40周年を迎えたTVアニメ『戦闘メカ ザブングル』のコミカライズ。

名古屋テレビ制作、テレビ朝日系列で放送の「サンライズ土曜5時半枠」(中京圏・首都圏)で1982年放送開始。

富野由悠季がTVアニメ監督としてクッソ働いてた時期で、いわゆる「スーパーロボット」路線から「リアルロボット」路線への過渡期の作品。

『戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル』2巻より(田中むねよし/富野由悠季/鈴木良武/小学館)

砂漠と岩と泥の惑星・ゾラ。

無菌のドーム内で暮らす少数の「イノセント」と呼ばれる超・上流階級が支配する中、一般庶民「シビリアン」は乾いた大地で「ウォーカーマシン」と呼ばれるメカを駆って、ガンマンで溢れた西部劇のような、「どんな犯罪も3日間逃げ切れば時効」という無法の大地でたくましく生き抜いていた。

シビリアンの少女・ベルは、複数のウォーカーマシンに襲われているカーゴを見かねて助太刀に入るが…

『戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル』2巻より(田中むねよし/富野由悠季/鈴木良武/小学館)

という、ガール・ミーツ・ロボットな出だしで始まるバトルロボットもの。

が、ガール!?

というわけで、コミカライズにあたって主人公が男子から女子に変更になりました。

原作アニメの完全なコミカライズを目指すものではなく、同じ世界観・同じメカ群を使った、パラレル作品のようです。

「アナザーゲイル」ってそういう…

『戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル』2巻より(田中むねよし/富野由悠季/鈴木良武/小学館)

作画の作風も、80年代の「コロコロ」というより「ボンボン」のTVアニメ・コミカライズの雰囲気を令和ナイズした雰囲気。

元が80年代前半の古いアニメで割りと荒唐無稽な分、どこかレトロな画風がワイルドでハードボイルドな作品世界にマッチしてます。

「ニュー・レトロ」とでもいうのか、70年代80年代リスペクトの流れというか。

『戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル』2巻より(田中むねよし/富野由悠季/鈴木良武/小学館)

ロボットのサイズ、性能、運用の仕方は、ロボットものだと『パトレイバー』が近いのかな。重機の延長線上のロボット的な。

西部劇っぽいというか、フロンティア(と呼ぶには少々退廃的ですが)の荒々しさというか、まるで任侠の世界。

武装による暴力が蔓延っていて、当然、警察も裁判所もないのでサバイブするためには自らも自衛のために武装して、逞しくなければ生きていけない、という世界観。

『戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル』2巻より(田中むねよし/富野由悠季/鈴木良武/小学館)

今巻で「復讐代理人」業者も複数登場、さもありなん、という。

一見コミカルタッチな画面ですが、世界観らしくというのかな、人の生命があっさり散って生きます。

勧善懲悪で割り切れない、守るべき者が罪を犯す、被害者と加害者が入れ替わる人の世のやるせなさ。

『戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル』2巻より(田中むねよし/富野由悠季/鈴木良武/小学館)

そんな世界で、少し夢、少しの思い出、少しの正義感と、戦闘メカ・ザブングルを持たされた主人公の少女・ベルはどう生きるのか。

自分は幼少すぎたのでTVアニメ『戦闘メカ ザブングル』の記憶はもうほとんど薄れてしまいましたが、すごいトミノっぽいというか、トミノ版『君たちはどう生きるか』というか。

80年代の骨組みの作品らしく荒唐無稽で、良く言えばワイルド、悪く言えば行き当たりばったりな荒々しい作劇、見た目もジュブナイル的な子ども向けっぽさを感じさせますが、富野が子ども向け作品に込めた、なんていうのかな、人間と人生と生命の本質に対する問いかけみたいな芯の硬さが、しっかり引き継がれたコミカライズであるように思います。

なにより読んでる間、唯一鮮烈に頭から消えないTVアニメ主題歌の名曲「疾風ザブングル」が、

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【第1話】戦闘メカ ザブングル〔サンチャン〕 - YouTube

「はやてのよお〜に〜ザブングルぅ〜!ザブングルぅ〜!」

と、読んでる間ずっと頭の中を流れ続けて勝手にドラマを盛り上げてくれるので、その分、得してる漫画だな、とw

ザブングル、かっけーな。

 

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