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#逃げ上手の若君 12巻 評論(ネタバレ注意)

「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征の現作は、鎌倉時代末期〜南北朝時代〜室町時代初期を舞台にした歴史物。

設定・登場人物は史実ベース。

デビューから3作連続10巻到達は「週刊少年ジャンプ」本誌史上、初めてになるとのことです。

『逃げ上手の若君』12巻より(松井優征/集英社)

あ、アニメ化も決まったんでしたっけか。

ひと昔前は「南北朝時代もの」はどう描いてもクレームがつくイメージでしたけど、ちょっと時代が変わった感じはしますね。

これを契機に「南北朝時代もの」が増えると良いなあ。

『逃げ上手の若君』12巻より(松井優征/集英社)

鎌倉幕府のトップ・執権として世襲で地位を継いできた北条氏の嫡子の少年・北条時行。しかし、幕府と敵対する後醍醐天皇側に寝返った足利高氏(尊氏)により、鎌倉幕府は滅ぼされてしまう。

北条氏の滅亡により大切なものを全て奪われた時行は、信濃国の国守にして神官の諏訪家を頼りに落ち延び、足利への復讐を誓う。

『逃げ上手の若君』12巻より(松井優征/集英社)

という伝記もの。シリアスに史実を追いつつも、演出としてギャグコメディ色も強い作品。

主人公・時行の持ち味は強い生存本能に基づく逃げの天才。

1335年3月、信濃動乱を経て、時行が歴史にその名を轟かしWikipediaに載るレベルの「中先代の乱」。「為に作品が始まったエピソード」、時行の人生のハイライトの一つ。

信濃国での諏訪一党による挙兵、北条時行としての名乗りを経て、破竹の勢いで庇番衆を半壊させ、鎌倉の眼前で最後に迎え撃った足利直義をも蹴散らして鎌倉入り。

主人公・時行の念願の、鎌倉帰還。

『逃げ上手の若君』12巻より(松井優征/集英社)

堅牢とされる鎌倉がバスケットボールのように奪還され合うのは、ちょっと『銀英伝』のイゼルローン要塞を思い出しますねw

同時に、「魔術師、還らず」の展開も思い出してしまいますが。

今巻は奪還した鎌倉で束の間のひと時。

元・首都ということで、兼好法師、初代政宗など、戦の外の史上の有名人も登場。その他、鎌倉観光巡りなどしつつ、新キャラ新戦力の登場に、郎党は政宗の手による新武器も入手。

『逃げ上手の若君』12巻より(松井優征/集英社)

というところで、足利尊氏本人による鎌倉奪還の軍が進発。

連載時にも話題になった、足利尊氏その人に関わる人物評と、その活躍(?)。

前田慶次郎や島津豊久など、漫画作品をきっかけにブレイクというか、それまで以上に広く知られるようなった歴史上の武将がいますが、

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今巻の足利尊氏はそれらに劣らぬ強烈なキャラクター。

『逃げ上手の若君』12巻より(松井優征/集英社)

ある意味、信長よりヤベー奴じゃねえかwww

もともと超有名な歴史上の大英雄なので今更「ブレイク」もクソもないですが。

こう言われると、主人公だろうが味方だろうが悪役のラスボスだろうが、自分でも調べて「新解釈」で足利尊氏を描く作品が増えると良いなあ、とか思います。

超絶知名度の割りに「わけのわからない」分、フィクション化する余白も多い、「美味しい武将」として、株価(?)が上がりそうですね。

 

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