読書するのはめんどくさいが読書家を気取りたい一心で、読んだことにするふりに腐心する女子高生・町田さわ子、自称「バーナード嬢」と、その友人たちの読書語り。
読書あるあるネタ、読書家の自意識、SF好きの友人・神林しおりとの無自覚な微百合ネタなど。
ニッチなネタながらアニメ化もされ、いつの間にか作者・施川ユウキの代表作みたいな扱いに。
テーマがテーマだけに「この漫画が好き」であること自体、読書通でインテリ気取れるアイテムになっているメタな面も。
初期には「読まずに語るいい加減なさわ子」を「グーパンで殴って修正する読書原理主義に尖った神林」みたいな読書家プロレス的なやりとりがあったんですけど、気がつけば「割りとちゃんと読書するようになったさわ子」と「丸く穏やかになった神林」みたいな感じに。
他、長谷川さんと遠藤くんを含め、読書に対するスタンスが少しずつ違う二律背反を体現した4人が4人とも作者の脳内に住んでんだよな、と思うと奇異に思うより「わかるわかるー」ってなりますよね。
という読書家あるあるコメディ。
本の話をしているようでいて、ずっと読む側の自意識の話をしているような作品。
「コンテンツを語る若者たち」という意味で、類似の作品を挙げれば『邦キチ』かなと思います。
aqm.hatenablog.jp
『バーナード嬢』より、もうちょっと「キャラ<取り扱う作品」な作品ですが、アレもキャラがコンテンツを語れば語るほど、読後に残る印象は作品よりもそれを語るキャラだったりします。
思うに、好きな本や好きな映画などのコンテンツに触れてそれを語るというのは、新たな知識や考え方、未知の驚きに触れるという面がもちろん強いんですけど、
「自分は何が好きなのか」
「自分は何が嫌いなのか」
コンテンツに触れる自分自身に新たな角度で光を当てて、コンテンツを鏡にして
「自分はどんな人間なのか」
を知っていく過程でもあるんだろうな、と思います。
自分も漫画を読んでいて、またその感想を書いていて、
「自分はこういう作品に(喜ぶ・怒る・悲しむ・拒絶する)人間だったのか」
と思う瞬間がちょいちょいあります。
基本的に好きな作品だけを語りたいブログですけど、嫌いな作品を語るのも自分を知るヨスガとして良いのかもしれないな、と思ったりします。
炎上すんのもヤだから、非公開で嫌いな作品についての感想を記録として残す、というのは良いかもしれませんね。
と、この感想も自分の話、自意識の話ばっかりw
aqm.hatenablog.jp