#AQM

あ、今日読んだ漫画

#波よ聞いてくれ 11巻 評論(ネタバレ注意)

北海道、主に札幌を舞台に、カレー屋の店員のフリーターべらんめえ女がしゃべりの面白さを買われて、地元局の兼業ラジオDJをやる話。

『波よ聞いてくれ』11巻より(沙村広明/講談社)

会話芸・セリフ芸の面白さメイン、深夜枠のラジオ番組を舞台に破天荒ヒロイン・ミナレの沙村節トンデモトークが炸裂。

「時代の流れに抗ってラジオの現場に情熱を持ち続ける人々」的なテーマに対し、パワーと素質に溢れるヒロインのミナレがトコトン他人事な感じが初期の桜木花道みたいねw

作中の当初から前フリされていた、年に一度の北海道ラジオ局同士がコラボする一大イベント、「バレンタインラジオ」がようやく開催!

『波よ聞いてくれ』11巻より(沙村広明/講談社)

という直前で、いつぞやの宗教団体の残党が、誘拐脅迫によるラジオジャック目的に、ADの瑞穂を騙して拉致し冬山の山小屋に拉致監禁。

救出に向かったミナレはようやく瑞穂と再会できたものの、二人して雪穴に埋まって遭難、そしてバレンタインラジオのミナレの出番枠の時間は刻々と迫る…

まあこれでミナレが死ぬとは読者の誰も思ってないのでネタバレすると、警察に発見・救助され、事件は大きく報道されてミナレと瑞穂はプチ「時の人」になり、そしてディレクター・麻藤の計らいで事件を起こした首謀者と刑務所ラジオの電波を挟んで対峙。

『波よ聞いてくれ』11巻より(沙村広明/講談社)

ラジオの未来を憂うメッセージを発する首謀者に対し、ミナレがかける言葉は…

ということで、ここ数巻の伏線や不穏要素があらかたまとめて解決する、中編エピソード完結巻。

事件中・解決・事件後の会話劇も相変わらずの面白さですが、やはりクライマックスに持ってきたミナレのDJトークが巻の華でしょう。

前述のとおり、「斜陽のラジオ業界」はこの作品に1巻以来ずっと通底してきたテーマながら、

『波よ聞いてくれ』11巻より(沙村広明/講談社)

門外漢からスタートしたこともあってミナレがこのテーマと正面から向き合うことはこれまでなかったんですが、初めて「ラジオの過去と未来」について語りました。

動機が実にミナレらしいw

語られた内容は、何事もそうであるように正解とか不正解があるものではありませんが、自分は大いに共感できるものでした。

このシーンやセリフに励まされるラジオ関係者がいるのかいないのか知りませんが、良い話も悪い話も含めて、「ラジオに限った話ではない」とも思いました。当たり前ですが。

『波よ聞いてくれ』11巻より(沙村広明/講談社)

演説シーンは「戦記もの・革命ものの華、クライマックス」というイメージがありましたけど、よく考えたら「ラジオもの」だったらDJのトークが鼻なのは当たり前ですねw

とても面白かったですけど、エピソード的にもあらかたオチがつき、語りたいことの多くはもう語られてしまった気がします。

次巻が「やり残し」を片付けてエピローグ的な最終巻になるのか、まだ語りたいことが残されていて新展開・新章に入るのか。

『波よ聞いてくれ』11巻より(沙村広明/講談社)

さて。

 

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