
マリーかわゆすなあ。
「J」は裏社会で自他共に認める最強の、一匹狼の凄腕の殺し屋だったが、性格はハードボイルドに憧れて形から入るナルシストのおっさんで、本名は純一だった。
恵は小学3年生の少女で、記憶力と学習能力に優れた優等生だったが、家庭では毒親の母親からスパルタ教育ハラスメントを受け、学校では外国人とのハーフの容貌を理由にバカガキ男子からのイジメに遭っていた。
恵が家出してうずくまっていた階段は純一が暮らすマンションで、

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武政夫/KADOKAWA)
ひょんなことから二人は頭をぶつけて「入れ替わり」が起こってしまう。
「自分の身体」を少女誘拐犯にしたくない純一、家庭や学校からの逃避先を得た恵、利害が一致した二人の、協力しながらそれぞれ「相手のふり」をする生活が始まった…
という、『レオン』と『君の名は。』と足して三谷幸喜で割ったような、殺し屋ものギャグコメディ。
『ヒナまつり』で著名な
aqm.hatenablog.jp
大武政夫の新作は、再び「アウトローのおっさん×少女」。
別作『女子高生除霊師アカネ!』との二毛作。

『J⇔M ジェイエム』4巻より(大武政夫/KADOKAWA)
「殺し屋もの」「一般人のふりして俺TUEEEE」「入れ替わりもの」「見た目は美少女、中身はおっさん」
などの流行りの売れ線要素をテキトーに詰め込んだような初期設定ですが、出オチになりがちな奇抜な初期設定のアイデアに依存するタイプではなく、ベタな初期設定をきっかけにシチュエーションのバリエーション豊かに転がす頭抜けた「ネーム力」に本領を持つ作家なので、あんまり問題になりません。
誰でも思いつきそうな設定ですが、ここまで面白おかしく描ける作家はほとんどいません、という作品。
女子小学生が人を殺すのはいかにも絵ヅラが露悪的すぎるせいか、保険として「悪人しか殺さない」というリミッターで一応の線引きも、という配慮もw
ガンアクションも見応えアリ、という意外で嬉しいおまけ付き。
「入れ替わり」はコメディ作品・ラブコメ作品では定番のモチーフですが、かつては「記憶喪失」も主にシリアス作品の定番モチーフでした。
近年は昔ほど見なくなりましたけど。
数年前読んだ、久しぶりに「記憶喪失」がモチーフの漫画で、
「記憶喪失中のキャラが、更に記憶喪失になる」
という、いわば「記憶喪失おかわり」展開を読んで度肝を抜かれたことがありました。
aqm.hatenablog.jp
そんなこと、やっていいのか! 漫画、自由だな!
ハイ、ということで、こちらの作品の今巻では

『J⇔M ジェイエム』4巻より(大武政夫/KADOKAWA)
嘘でしょw
「入れ替わり中のキャラが更に入れ替わる」
という「入れ替わりおかわり」が発生。
マリーの依頼で二人で潜入暗殺ミッションに赴いたM(中身=J)は、任務完了、脱出前のひょんなトラブルでマリーと入れ替わりが発生し、しかもマリー(中身=J)は脱出過程で小学生の身体になれないM(中身=マリー)に脇腹を誤射され、絶体絶命のピンチに!
ああクソ、文章で書くとややこしくてわけわからんw

『J⇔M ジェイエム』4巻より(大武政夫/KADOKAWA)
ハードボイルドなガン・アクション・シーンとは思えない、間抜けなセリフたち。
というわけで
J(中身=恵)
M(中身=マリー)
マリー(中身=J)
状態に。
ダイナミックというか、いやー、漫画って自由だなあw
同時にマリーに対する「正体バレ」も発生して、「入れ替わりコメディ」の幅も1.5倍?に。

『J⇔M ジェイエム』4巻より(大武政夫/KADOKAWA)
「どうなるんだこの漫画」というか、もはや「どうするんだこの漫画」という感じで、先がどうなるか予想する気も起きんわ。
3人とも微妙にいい奴で、微妙に共感できるけど、微妙にクズなんですよね。
こんなに馬鹿馬鹿しい展開なのに、合間合間のガン・アクション・シーンだけは結構まじめにかっこよく描かれて、ついでみたいに普通に撃ち殺されるMOBのヤクザの人たちが可哀想w
マリー、セクシーで可愛くて好きだったのに、この漫画、可愛い女の子が次々と中身おっさんになっていく。

『J⇔M ジェイエム』4巻より(大武政夫/KADOKAWA)
業界トップを争う殺し屋たちが真剣にママを嫌がっててウケる。
aqm.hatenablog.jp
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