大正時代、淡路島の豆狸・通称「まめだ」は、おつかいで訪れた大阪で禁を破って人間を化かす気満々ながら上手くいかない。
化かし損なったボブカットのモダンガールを尾けて行った先は落語の寄席、彼女は狐が人に化け大黒亭文孤を名乗る落語家。言葉で人間を化かすような文孤の落語に魅せられた"まめだ"は押しかけ弟子として文孤のもとで落語家を目指す。
大正浪漫で上方落語なファンタジーコメディ。
前巻までで試練を乗り越えて関係各所に大黒屋の弟子として正式に認められ、前座に出世。有馬記念に興行出張、まめだの身体に現れ始めた異変、若手落語家の演芸大会、そして長編エピソード「地獄八景亡者戯」へ。
相変わらず落語にかける情熱をテーマに、落語の噺をモチーフとして巧みに絡めて進める出来は出色。キュートでポップな絵、温泉回もあるよ!
ですが、巣立ちの予感が語られたり、まめだに変調が起こり始めたり、長編エピソードに突入したりと、終わりの予感がしてこなくもない。
落語の噺をネタ元のモチーフとして使うのは、ネタが無限にあって作劇に苦労しないもんなのか、それとも難度も負担も高いものなのか。落語に詳しくなくてわからないですが。
最初っから疑問なんですけど、作品タイトル「うちの師匠はしっぽがない」の「うちの師匠」とは誰のことでしょうか。当初は文狐が実はただの人間だったというオチかなとも思ったんですが、もしかしたらまめだのことかもしれないな、と思い始めたり。
いずれにしろ、間違いなく最終回で回収されるタイトルだと思います。
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