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#新九郎、奔る! 7巻 評論(ネタバレ注意)

室町後期(戦国初期)の武将、北条早雲の幼少期からの伝記もの。享年64歳説を採用。

中世代を舞台にした作品ながら、現代の話し言葉を大胆に採用、横文字もガンガン出てくる。おっさん達の政争劇は作者の本領発揮なイメージ。

北条早雲の伝記を漫画の上手のゆうきまさみが、の時点で面白いに決まってんだけど、日本史の中でも複雑で難解なことで有名な応仁の乱がらみ。渋すぎるテーマをどう捌くのか。

京都の戦乱が地方に飛び火。兄の死で伊勢備前守家の嫡男に繰り上がり、数えで十六となった新九郎も領主である父の名代、次いで正式に当主を継いで領地・荏原郷(岡山県井原市)へ。

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「新九郎、奔る!」7巻より(ゆうきまさみ/小学館)

大失恋も経験して、いわゆる「平盛時禁制」も描かれ、荏原郷編も前巻で完結。

と思ってたんですが、次のエピソードシリーズへの繋ぎの巻っぽい感じで、荏原郷エピソードの尻尾も引き続き。

荏原郷をよそに、応仁の乱が膠着する京では疫病が流行し、将軍家や新九郎の伊勢家でも罹患者や死者が出て、新九郎が荏原郷と京を行ったり来たり。

ついでに東軍と西軍の間も行ったり来たり。

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「新九郎、奔る!」7巻より(ゆうきまさみ/小学館)

繋ぎの巻ですけど、それだけに情報量が多く、大河歴史ものっぽくなってきました。

スポーツものやバトルものでも「試合巻」「バトル巻」より「繋ぎの巻」の方が情報量多かったりしますよね。

北条早雲の伝記としてはまだまだほんの触りに当たる年代の話ですけど、すでにもうエンジンかかって面白くなってきました。

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作中の新九郎評が、若くして一次情報収集を怠らず、また手下の教育に力を入れていて、智略の将としての片鱗が見え、またそれが大人衆には理解されずに少々変人扱いされている描写が面白いですね。

作中まだ16〜17歳かな?というところですけど、表紙の新九郎の顔も青年期に入って、次巻からいよいよ駿河下向編のようです。楽しみ。

 

 

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