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あ、今日読んだ漫画

#百木田家の古書暮らし 1巻 評論(ネタバレ注意)

母と死別、父は単身赴任でアメリカの大学で勤務。横浜の実家で暮らす百木田(からきだ)家の三姉妹。

長女でバツイチで出版社編集のイチカ。

次女でコミュ障で会社員生活に馴染めないツグミ。

三女で高校生で闊達な自由人志向のミノル。

「百木田家の古書暮らし」1巻より(冬目景/集英社)

神保町で古書店を営む祖父が亡くなり、遺言で横浜の自宅を売却、神保町の店舗 兼 住居に転居することに。

祖父の古書店に愛着があり、今の会社の仕事には愛着がないツグミは、姉妹を代表して古書店を継ぐことを決意した。

という、冬目景の新作は本の街・神保町の古書店を舞台にした三姉妹の物語。

「百木田家の古書暮らし」1巻より(冬目景/集英社)

「三姉妹〜四姉妹」ものの作品は、「長女の事情」「次女の事情」「三女の事情」とそれぞれをヒロインとするエピソードが複数同時に並行して進む作品が多いですが、この作品もそういう感じです。ギャグコメの『みなみけ』までをカウントしても、どこか物憂げでローテンションな日常ものが多いジャンル、というイメージ。

作品を貫く大きな縦軸、というよりは中小の縦軸が複線で走っていて、「イチカの人生事情」「ミノルの青春事情」「ツグミの古書店 繁盛期+α」に「幻の画家の遺作を巡るミステリー(サスペンス?)」要素、が1巻で提示されています。

「百木田家の古書暮らし」1巻より(冬目景/集英社)

横軸は「古書店のお仕事描写」「長女や三女の恋愛模様」「三姉妹の日常生活の会話劇」などなど。

今のところまだ風呂敷拡げてる段階だと思うんですけど、映画や連続ドラマ、単巻〜上下巻の小説と違って、連載漫画は作品全体の尺が読めない(決まってない)ので、スケールというか、よくわかんないスね。

30巻ぐらい続くかもしれないし、2巻で終わるかもしれないし。シュレディンガーの冬目景。

「百木田家の古書暮らし」1巻より(冬目景/集英社)

1巻で特に何か大きな事件が起こるわけでもないですが、日常生活の描写と少しの物語的な進展で、音楽を聴いているかのように(冬目節だ)相変わらず心地よく読ませます。過去の冬目景の作品がお好きだったのであれば、楽しく読めると思います。

それにしてもこの作者の描く絵、画面、良い意味で80〜90年代のまま時間が止まっているかのようですね。

アップデートできていないというより、流行と関係ないところで独り普遍性というか、強い作家性を獲得してしまっているというか。

サザンオールスターズが80年代も90年代も00年代も10年代もずっとサザンであり続けたが故に、昔の曲を聴いても懐かしさこそあれ古さを感じないのに似ています。

ミステリアスというか、どこか憂いや陰を秘めた、本当の心を知りたくなる女の子を描きます。眼がキーなのかな。

「百木田家の古書暮らし」1巻より(冬目景/集英社)

この人が描いたら、それが例え「ウマ娘ほのぼの4コマ」でも、どこか文学的な憂いを秘めたギャグコメになったりするんでしょうか。

 

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