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#Get truth 太陽の牙ダグラム 2巻 評論(ネタバレ注意)

SC152年、2つの太陽を持つ惑星デロイアは植民星として地球から支配され、搾取され、差別され、虐殺されていた。

地球連邦の横暴と圧政に対し、デロイア人の間で自治独立運動が勃興、武力闘争を開始し、泥沼のゲリラ戦を展開。

地球連邦の体制側の大財閥で政界の重鎮を兼ねる地球・カシム家の御曹司クリン・カシムは、惑星デロイア現地の惨状を見かね、薔薇色の将来を投げ捨てて現地ゲリラに身を投じる。

『Get truth 太陽の牙ダグラム』2巻より(太田垣康男/高橋良輔/小学館)

クリンは、武闘派ゲリラ組織「太陽の牙」の最強のコンバットアーマー「ダグラム」のパイロットとして、故郷である地球に銃を向けた…

という、重厚なハードボイルドSF戦記。

一昨年、TV放送40周年を迎えたTVアニメ『太陽の牙 ダグラム』のコミカライズ。

www.dougram.net

ja.wikipedia.org

コミカライズはあの『FRONT MISSION DOG LIFE & DOG STYLE』、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』なとで、ロボットもののシリアスでハードでハードボイルドなコミカライズに俺の中で定評がある太田垣康男。

『Get truth 太陽の牙ダグラム』2巻より(太田垣康男/高橋良輔/小学館)

太田垣のバタくさい絵柄がフルカラーで更にバタくささが増して、画面の雰囲気が洋コミみたいですが、セリフが横書きでふきだしもそれに対応しているなど、小学館はこのコミカライズに相当自信があるのか、完全に世界輸出仕様。

紙書籍→電子書籍化のサイクルが1巻より短くなっているようで、感謝感謝。

さて。

ラゴール旧市街のゴーストタウンに潜み、補給の交換パーツを待ちつつダグラムを分解整備していたゲリラ組織「太陽の牙」。

「太陽の牙」に強い私怨を持つトラビスとアウラ率いる地球連邦の部隊がこれを強襲。トラビスとアウラは複座式でダグラムと互角の能力を持つCBアーマー・ビッグフットを駆って、ダグラムに迫る。

という、旧市街を舞台にした市街戦&脱出劇。

逃げながらワラワラと味方が補給の交換パーツや武装を届け、大軍に追われて脱出しつつ、ダグラムが追加される武装でどんどん強くなっていき状況が逆に有利になっていく、愉快痛快な展開。

『Get truth 太陽の牙ダグラム』2巻より(太田垣康男/高橋良輔/小学館)

お話というか、やってることは「逃げる」「隠れる」「戦う」を単純に繰り返してるだけなんですけど、大迫力の絵力でねじ伏せていくスタイル。

カメラアングルがいいですよね。

『閃光のハサウェイ』でも地上の人間目線のモビルスーツ戦の恐怖が描かれましたが、『ダグラム』は特徴的な2つの太陽を画角に収めるためにアオリのローアングルが多くて、

『Get truth 太陽の牙ダグラム』2巻より(太田垣康男/高橋良輔/小学館)

無骨なCBアーマーのデザインも相まって、基礎が1980年代の作品とは思えない、大迫力かつかっこいいメカ描写・戦闘描写。

レジスタンス、パルチザンで革命を志向した学生運動を連想しますが、TV放送はベトナム戦争も終結済みの頃なんですね。

『Get truth 太陽の牙ダグラム』2巻より(太田垣康男/高橋良輔/小学館)

主人公・クリンの幼馴染ヒロインが彼を連れ戻すため?に現地入りし、またクリンの血族たちが彼の謀殺・暗殺を企てる中、血縁を捨てて、新たな擬似家族を模索するレジスタンスの若者たち。

作品の時代背景的に、反体制、アンチ・ハッピーエンドのニュー・シネマな流れになっていくんかしらね。

『Get truth 太陽の牙ダグラム』2巻より(太田垣康男/高橋良輔/小学館)

自分は原作未視聴なんですけど、時代背景の変化を受けて、展開をどう改変するも大きな見どころかなと思います。

「なぜ今『ダグラム』のコミカライズなのか」というのは、「40周年だった」だけではないメッセージが込められていることを期待したい。

完結まで何年かかるか知らないし、その頃にはまた現在とは時代背景が変わっているんだろうけど。

 

 

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