
西尾維新の原作を大暮維人がコミカライズして週刊少年マガジンに掲載の鉄板漫画。キャラデザVOFAN準拠。こんなに美麗な絵でコミカライズされると原作冥利に尽きるでしょうね。ちなみに自分は原作とアニメを消化済み。
順番を入れ替えて、「こよみヴァンプ(傷物語)」の後に「つばさキャット(化物語5章)」。

『化物語』21巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)
今回、コミカライズの「つばさキャット」ですが、原作小説やアニメ版ではサラッと触れただけの「つばさファミリー」の回想をガッツリやりまして、実質的に「つばさファミリー+つばさキャット(つばさキャットに回想シーンとしてつばさファミリーを完全に内包)」という形に再構成され、更に虎が出てきて武者も出てきて、アレとソレも「つばさキャット」の中で決着つける勢い。
大胆にショートカットして虎と怪異殺しの同時展開、更に「もう居ないはず」のキャラと「まだ居ないはず」のキャラが共存していることで、原作・アニメで見たことのないマッチアップも。

『化物語』21巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)
原作も作中と刊行順の時系列が倒置されていたりとなかなかに複雑でしたが、本コミカライズでは更に(基本的には)個別に発生していた事件群が同時並行で発生してるので、ちょっとTVアニメでやったら視聴者が大量に脱落しそうなだいぶ複雑な展開。
小説と違ってビジュアル化され、動画と違って理解のための思考をしながら、自分のペース・緩急でページをめくったり止まったり戻ったりしながらビジュアルを絡めて読める、漫画ならではという感じはします。

『化物語』21巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)
週刊少年マガジンでは先日発売の号で連載が最終回を迎え、単行本も次巻で完結とのことです。
「化」と「傷」をベースに「猫(白)」「鬼」あたりを部分的に吸収して再構成。
要するに「化」でありながら先々のエピソードを先食いしてる状態なので、原作コンプは整合性・構成的に無理ということで、キリの良い「化」まで、という感じ。
今巻は「猫(黒)」と「猫(白)」をほぼ同時決着させるのに併せて、語り草になり主題歌の歌詞にもなったあのセリフも。

『化物語』21巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)
Wikipediaで確認したところ、
ja.wikipedia.org
自分は原作は「結物語」まで読んでいたようです。やべえ、その後6冊も出とるw
名シーンの乱れ打ちな今巻で語られるべきはまず、羽川翼の結末について、なんでしょう。
「結」まで読んでるので羽川が将来「どう」なるのか自分は一応知っているんですが、羽川の原作エピソードは「傷」「猫(白)」「猫(黒)」と家庭の問題・自分探し・暦への片想いと、似たテーマがある意味「消化不良」で終わっては再燃する、が繰り返されてごっちゃになりやすかったので、本コミカライズでいっそ構成的にごっちゃにしたのは却ってわかりやすくなって英断でしたね、と思います。

『化物語』21巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)
おかげで当の羽川は現実時間で2年間近く半裸にw
ひたぎには悪いんですけど、自分は「羽川派」なんですよね。
戦場ヶ原ひたぎと羽川翼の対比は、「(ラブコメ)物語におけるメインヒロインとは」を考えさせる良い命題に、今でも在り続けているように思います。
羽川の恋が成就しなかっただけに、より彼女の印象が強くなっちゃいますよね。
単純に出番が多い、ということもあって、このコミカライズでも羽川の描写は外面も内面も気合入ってたよな。猫シリーズがあんなに…
構成を再構築しながらも、原作の数々の名場面は外さずに最もエモーショナルな絵と演出で再現しつつも、ちょっとしたシーン追加も気が利いていて、本当に素晴らしいコミカライズでした。総括するにはまだ少し早いけど。

『化物語』21巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)
良いシーンだ…
ラスト一冊はほぼエピローグになるんかな。完結済みの連載はあえて読まずに、最終巻を待って臨みたいと思います。
いろんなキャラクターたちがそれぞれ「最終回」を迎え、今巻で羽川翼が「最終回」を迎えてきましたが、忍野メメ、忍野忍、そして阿良々木暦の最終回がまだ残されています。
本当に、漢字の変換がめんどくせえ主人公だなw
aqm.hatenablog.jp