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#ウィッチウォッチ 10巻 評論(ネタバレ注意)

『SKET DANCE』『彼方のアストラ』の作者の現作。

乙木守仁は、超人的な身体能力を持つ鬼の末裔であることを隠して普通に暮らしていた。

守仁の高校入学を控えた春休み、長期出張で海外へ出発する父と入れ替わりに、魔女の聖地に修行に出ていた幼馴染のニコが帰還。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

両家の同意のもと二人は一緒に暮らし、守仁はニコの使い魔として彼女を予言された災いから護衛することに。

6年ぶりに再会したニコは可愛らしく、しかし強力ながらどこかポンコツな魔女に成長していた…

という、幼馴染の鬼ボーイ・ミーツ・魔女ガール・アゲインに、ニコの使い魔となる同居仲間が守仁以外にも天狗、狼男、吸血鬼と増えて、同居日常ギャグ学園ラブコメたまにシリアスバトルな漫画に。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

シリアスなバトルもので人気を博したカッコよ可愛いキャラたちの、ギャグだったり緩かったりする日常や恋愛・ラブコメをもっとじっくり見てみたい、というのは人気作であれば多かれ少なかれ発生して、多くの場合その役割は公式スピンオフや二次創作に託されることになるんですが、

「一次創作内で自分で全部やっちゃおう!」

「バトル・ギャグ・コメディ・ラブコメ・日常・ホラー・ファンタジー、少年漫画のジャンルを全部一作品内でやっちゃおう!」

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

という作品。

女の子可愛いんですけど、たまに描かれるフォトジェニックなポーズがまた可愛いよね。

今巻も、黒魔女(ウォーロック)と鬼の生き残りにまつわるシリアス伏線の中編エピソードと、それを挟む日常コメディ回とのハイブリッド巻。

開幕はニコたちの同級生の少女・クックと、隠れオタク教師・真桑先生の2人組の同人サークル「オシエシニッシ」のコミケ初参加エピソード。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

ニコの褒め言葉、「近所の優しいおばあちゃん」みたいで、良いなあw

クリエイターものジャンルとして、『これ描いて死ね』とまで競合していくスタイル!

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サークル名「オシエシニッシ」は「推し」「絵師」「日誌」、「オシエシ」には「教え師(=教師)」「教え子」のダブルミーニングがかかっていてなかなか凝ったネーミング。

「ニッシ」もなんか掛かってんのかなと思ったけど、なんも思いつかん。

中編のシリアスエピソードは作話・演出ともに意外性もあってスリリングで先が楽しみですけど、

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

何が良いって「それはそれとして」ってまた日常コメディに回帰していくのが良いですよねw

シリアス要素に引っ張られて、コメディが楽しかった作品の雰囲気全体がダークになる漫画が普通なんですけど、キッパリ拒否して

「楽しむ時は楽しむ!戦う時は戦う!」

とメリハリつける宣言をしていくスタイルw

その分、シリアス展開に対する読者予感は予定調和というか、彼らが戦いで死んだりバッドエンドで終わるなんて誰も思わないんですけど、現代漫画的なホスピタリティのような気もするし、予定調和を裏切った時の落差もより大きいだろうなという気もします。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

野郎キャラの女体化を可愛く描きすぎるのをやめろ!人気が出ちゃったらどうするつもりなんだ!

その後のハイクオリティなコメディ回のネタも、「配信者+性別逆転」というモダンなネタから、古典の透明人間ネタ、王道の画伯大喜利など、少年漫画のジャンル・ネタの高級デパート、一冊で「週刊少年ウィッチウォッチ第10号」という感じ。

強いて不満を言えば、ネムちゃんの出番がなかったぞ、ネムちゃんの!

 

 

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