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#2.5次元の誘惑 17巻 評論(ネタバレ注意)

先輩たちが卒業し、高校の一人漫画研究部として日々部室で二次オタ活動に勤しむ奥村(高2♂)。

学校が新入生を迎えたある日、漫画研究部のドアを叩く一人の新入生がいた。奥村と同じく古の名作「アシュフォード戦記」「リリエル外伝」とそのヒロイン「リリエル」をこよなく愛する彼女・天乃リリサは、キャラ愛が高じて高校生になったらコスプレイヤーになることを夢見ていた。

『2.5次元の誘惑』17巻より(橋本悠/集英社)

というボーイミーツガールから始まるコスプレ青春もの。それぞれの葛藤を乗り越え界隈を騒がすコスプレチームとなり、四天王と呼ばれる頂点のコスプレイヤーたちにも認知されるように。

コスプレデビュー、夏コミ、冬コミ、文化祭、と怒涛の一年が過ぎ年度が改まりまして、各自進級、まり姉は卒業して常駐OBに。

新一年生の新キャラ、ハイスペお嬢様・華 翼貴(はな つばき)も早々にコスプレ部に馴染み、今巻は「最後の四天王」編。

『2.5次元の誘惑』17巻より(橋本悠/集英社)

これまで登場済の四天王が趣味的もしくはビジネス的なスタンスだったのに対し、コスプレに対してより求道的に芸術性を追い求めるコスプレイヤー。

師としてはまゆら様が既にいるんですが、まゆら様はどちらかと言うと後進のために道を拓いて自由にコスプレできる環境を作ることに注力してくれるタイプであるのに対し、最後の四天王・淡雪エリカは「自分のコスプレ」を追い求める孤高が持つノウハウ、精神論・技術論・芸術論を具体的に伝授していくタイプの師匠。

『2.5次元の誘惑』17巻より(橋本悠/集英社)

自分はコスプレもカメラもクリエイティブも素人なので、彼女たちが語るクリエイティブ論がどれだけ真に迫っているのかは正直わからないんですけど、「なんかすげえ!真に迫ってる!」と思わせることには成功している説得力のある描写が読んでて楽しい。

愛されキャラの奥村とリリサの「コスプレ界 師匠巡りの旅」と化しているというか、実は主人公は奥村とリリサではなく作者が思う「あらまほしきコスプレ界」で、奥村とリリサはそれを写す鏡、触媒なんじゃないかという気がしてくると同時に、

『2.5次元の誘惑』17巻より(橋本悠/集英社)

2人で始まった物語が「想いが受け継がれていく大きな流れ」に合流して溶け合っていくようで、なんだか感慨深い。

奥村の「覚醒待ち」の期待感煽りも良いですよね。

WEB連載時の休載カットやおまけ漫画もほぼ全部収録、連載時の「例の光」も除去されるなど、相変わらず華やかでサービス精神旺盛でエロエモ可愛い。

女の裸の体型の描き分けレベルがキモすごいじゃなかったもの凄いなw

『2.5次元の誘惑』17巻より(橋本悠/集英社)

あとミカリンが男前可愛いすぎて、メインヒロインを食ってしまう「強力サブヒロインの系譜」感。

あくまで「コスプレにかける青春」がメインで、ハーレムラブコメ自体が主眼の作品ではないんですけど、だからこそ「ハーレムラブコメのテンプレ展開の壊し方」の、新しい類例がみられそうな予感も。

 

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