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#J⇔M ジェイエム 1巻 評論(ネタバレ注意)

「J」は裏社会で自他共に認める最強の、一匹狼の凄腕の殺し屋だったが、性格はハードボイルドに憧れて形から入るナルシストのおっさんで、本名は純一だった。

恵は小学3年生の少女で、記憶力と学習能力に優れた優等生だったが、家庭では毒親の母親からスパルタ教育ハラスメントを受け、学校では外国人とのハーフの容貌を理由にバカガキ男子からのイジメに遭っていた。

恵が家出してうずくまっていた階段は純一が暮らすマンションで、

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武政夫/KADOKAWA)

ひょんなことから二人は頭をぶつけて「入れ替わり」が起こってしまう。

「自分の身体」を少女誘拐犯にしたくない純一、家庭や学校からの逃避先を得た恵、利害が一致した二人の、協力しながらそれぞれ「相手のふり」をする生活が始まった…

という、『レオン』と『君の名は。』と足して三谷幸喜で割ったような、殺し屋ものギャグコメディ。

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武政夫/KADOKAWA)

『ヒナまつり』で著名な大武政夫の新作は、

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再び「アウトローのおっさん×少女」。

別作『女子高生除霊師アカネ!』との二毛作。

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「殺し屋もの」「一般人のふりして俺TUEEEE」「入れ替わりもの」「見た目は美少女、中身はおっさん」

などの流行りの売れ線要素をテキトーに詰め込んだような初期設定・第1話ですが、

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武政夫/KADOKAWA)

出オチになりがちな奇抜な初期設定のアイデアに依存するタイプではなく、ベタな初期設定をきっかけにシチュエーションのバリエーション豊かに転がす頭抜けた「ネーム力」に本領を持つ作家なので、あんまり問題になりません。

誰でも思いつきそうな設定ですが、ここまで面白おかしく描ける作家はほとんどいません、という作品。

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武政夫/KADOKAWA)

女子小学生が人を殺すのはいかにも絵ヅラが露悪的すぎるせいか、

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保険として「悪人しか殺さない」というリミッターで一応の線引きも、という配慮もw

ガンアクションも見応えアリ、という意外で嬉しいおまけ付き。

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武 政夫/KADOKAWA)

「殺し屋もの」の流行にも流れみたいなものがあって、「殺し屋もの」作品の性格はだいたい3つの路線に分類できそうに感じますが、本作は「コメディ全振り路線」のいきなり筆頭格に躍り出てる感じ。

「躍り出る」って言葉、全力疾走しながら阿波踊りしてるみたいなイメージが浮かんでしまって頭の中で毎回ちょっと笑ってしまうんですが、まさにそんな

「本人たちは真面目に必死なのに、それがかえって滑稽」

というギャグコメディ漫画です。

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武政夫/KADOKAWA)

今作もぜひ、末長く楽しませていただきたい。

 

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