#AQM

あ、今日読んだ漫画

#ブルーピリオド 15巻 評論(ネタバレ注意)

男子高校生・矢口八虎は、金髪ピアスで夜遊びしたりタバコ吸ったりしつつも、将来のために勉学を欠かさず学業成績優秀、コミュ力もばっちりというリア充DQNエリートな万能人間だったが、情熱を注ぐ先を見つけられず、どこか借り物の人生のような空虚さを感じていた。

しかし、ひょんなことから立ち寄った美術室での描きかけの一枚の油絵との出会いが、冷めていた八虎の人生に火を灯すのだった…

『ブルーピリオド』15巻より(山口つばさ/講談社)

という、高2の途中で絵画への情熱に目覚めて藝大を目指す少年のお話。見事に現役で東京藝大の油画科に合格、晴れて藝大生に。

漫画の中の一大ジャンル「美大もの」の王様『ブルーピリオド』、12巻からの藝大2年生編。

夏休み、同級生のモモちゃんの広島の実家のお寺で合宿。

八雲の口から語られる彼のここまでの道程、そして天才少女として期待されながら早逝した、かつての同級生、真田まち子について。

広島合宿編エピソードが今巻で完結。

二つ思いました。芸術の良し悪しについて、あと大事な人を喪うことについて。

『ブルーピリオド』15巻より(山口つばさ/講談社)

芸術の良し悪しについて。

自分は芸術については、小中高の図画工作や美術や音楽の授業程度しか修めておらず、素養は不明、「学がない」というやつで、絵や写真の良し悪しはよくわかりません。

見た目の差に現れるテクニカルな面について、ましてや作品に宿る魂のようなもの、精神面について。

ただ『ブルーピリオド』や、あと『2.5次元の誘惑』などを読んでいると、

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なんとなく、漫画と一緒なんじゃないかな、という気になってきます。

漫画も、特に修めてはいないんですけど。

『ブルーピリオド』15巻より(山口つばさ/講談社)

なんでこれを描こうと思ったのか。何を思って描いたのか。何を思って描かれたのか。

これをもって失敗作として破棄することなく、「作品」として発表することを良しとした理由、思考、感情、その人生、その師匠、その背景、その時代は。

作品は作家の人間と人生を映す鏡であって、私はそれを受容して愛したり感動したり嫌悪したりしていて、それは実はあらゆる芸術、に限らず、私と同じその辺の一般人のツイートと同じで、そんなに難しいことではないのではないか、と思ったりします。

『ブルーピリオド』15巻より(山口つばさ/講談社)

『ブルーピリオド』や、あと『2.5次元の誘惑』などを読んでいると。

漫画を読んでわかったように芸術を語ってんじゃねーよ、といろんな人に怒られそうですがw

素人なので「良し悪し」というより「好き嫌い」ですかね。

 

大事な人を喪うことについて。

自分も『キラキラ!』の杉田と同じく「老人少年」あらため老人中年で、

『キラキラ!』kindle版5巻より(安達哲/講談社)

「前を向く」とか「上を目指す」とかより「後ろを振り返」っていたい人間なので、八雲が今巻で至った境地には共感してしまいます。

痛みで生を実感する、「精神的な自傷」とは似て非なるものだと思うんですけど、

「まだ悲しい」

「まだ傷ついている」

「ちゃんと呪われてる」

という感覚って、

「自分は薄情じゃないんだ」

「ちゃんと人の心があるんだ」

というか、ちょっと違うな。

『ブルーピリオド』15巻より(山口つばさ/講談社)

「大事だったものが、時間が経っても自分の中で大事なままでいてくれる」

感覚というか。

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ハードボイルド小説的な、マゾヒスティックなナルシズム、と言ってしまえば、まあ、それまでなんですけど。

立ち直んなくたって、前を向いてなくたって、俺は生きてるよ。

『ブルーピリオド』15巻より(山口つばさ/講談社)

それはそれで、いいじゃんねえ。

前や上を向いて、忘れてしまったり、思い出さなくなったりしてしまうよりは。

 

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