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#トニカクカワイイ 26巻 評論(ネタバレ注意)

基本は理系天才フリーター・ナサくんと、謎多きクール美少女・司(つかさ)さんの、なんか可愛い男の子と女の子の新婚生活ラブコメ。

『トニカクカワイイ』26巻より(畑健二郎/小学館)

SFファンタジーな「かぐや姫」伝承にまつわり不老不死であることを匂わせつつ隠してきた日常ラブコメの、隠してきたその謎の真相が「第一部 完」として15巻で明らかに。

ここ数巻で登場した新キャラ、アシモとひまりのカップル未満のラブコメにスポットが当たった展開が続きます。

ナサくん司さんとご縁付けされてはいるものの、特に何の思い入れもないキャラたちなのでキョトンとしながら読んでますが、先々の展開の布石というか重要キャラになっていくんだろうなと思います。

『トニカクカワイイ』26巻より(畑健二郎/小学館)

ナサくんの「目的」を達成するための相棒というかチームというか。

本当は時子がナサくんの「壁打ち」の相手として会話し議論し助言し、という役割が望まれましたが、亡くなっちゃったので。

ナサくんの研究なり探究なり開発なりが全部独り言かモノローグになってしまうので、ナサくんの技術的な相談相手としての、時子ポジションの後継なのかなと。

『トニカクカワイイ』26巻より(畑健二郎/小学館)

昨今、「不老不死」「寿命ギャップ」をメインのモチーフに掲げた漫画作品が再興しています。

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大きく分けると、「ハッピーエンド」と「バッド(ビター)エンド」ですが、「ハッピーエンド」一つとっても

「不老不死者にとってのハッピーエンドってなんだ?」

というのはなかなかな問題かなと思います。

『トニカクカワイイ』26巻より(畑健二郎/小学館)

「同じく不老不死のパートナーや仲間を得る」ことかもしれませんし、「既にハッピーエンド状態なのでそのままで良い」かもしれません。

自分が不老不死者だったら

「全人類が不老不死になって欲しい」

と願うかもしれませんが、それってなんて人類補完計画?という。

類型の一つは

「不老不死を解除して、老いて死ぬ普通の人間になること」

かと思いますし、この作品はナサくんがはっきりそれを口にして指向しています。

こういう願いは、だいたいファンタジー寄りのミラクルなキーアイテムやデウス・エクス・マキナによって解決されることが多いですが、ナサくんは「司さんを不老不死にしたシステム」を科学的にハッキングして解除しようとしていて、ちょっと珍しいパターン。

『トニカクカワイイ』26巻より(畑健二郎/小学館)

現実には私の知る限り「不老不死システム」は存在しないため、その解除法も「真に科学的に」描写することは当然不可能なんですけど、不可能な「嘘」のリアリティラインを上げるためにも、アシモとひまりは重要なキャラになっていくんだろうな、と。

前巻の「時子の遺産」以来、ちょっと緊張感が戻ってきて、今巻の司さんの正体バレから重ねて空海にまつわる回想の入りもスムーズで「おっ」と思いました。

『トニカクカワイイ』26巻より(畑健二郎/小学館)

歴史上の有名人の登場はまあ「読者サービス」的はあるんですけど、「若い頃の弘法大師に書を教える司さん」はちょっと面白いですねw

 

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