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あ、今日読んだ漫画

#機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー 3巻 評論(ネタバレ注意)

U.C.0094、一年戦争終結から14年、「シャアの反乱」終結から1年半。

『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー』3巻より(才谷ウメタロウ/大脇千尋/KADOKAWA)

一年戦争時、カツ、レツ、とともに戦災孤児として地球連邦軍の戦艦ホワイトベースに乗り合わせて戦場を転々としていたキッカは、コバヤシ夫妻の養子として、月面都市フォン・ブラウンで文学を学ぶ大学生になっていた。

シャアの反乱でMIA(Missing in action:作戦行動中行方不明)認定されたアムロ・レイの名前が、半年後の戦争慰霊祭で初めて慰霊碑に刻まれることとなり、アムロの伝記が多々出版される中、キッカは世間で肥大していく「撃墜王アムロ・レイ」の虚像に強く違和感を覚えるようになった。

養母フラウが暮らす実家となった静岡に帰省したキッカは、アムロ・レイを取材し本を出版したい旨をフラウに告げる。

フラウはキッカにカイ・シデンの連絡先を渡し、そのカイ・シデンからはアムロ・レイが生前に関わった大量の関係者の所在と連絡先リストが送られてくる。

かくして、アムロ・レイの伝記を出版するべく、キッカの取材の旅が始まった…

という、女子大生キッカによるアムロ回顧のガンダム・スピンオフ。

『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー』3巻より(才谷ウメタロウ/大脇千尋/KADOKAWA)

宇宙世紀回顧ものでは、カイ・シデンを主人公にした、

ことぶきつかさの『一年戦争(ガンダム)』『グリプス戦役(Zガンダム)』の回想録シリーズ計4冊が比較的著名かつ出来物で、本作も正統後継と言って良いぐらい雰囲気は似てます。

本作はテーマをアムロにしぼり、関係者にインタビューしていく、というスタイル。

一年戦争はなんかもう『スターウォーズ』サーガと並んで「日本で最も有名な架空戦記」ですね。

ja.wikipedia.org

 

作者の「才谷ウメタロウ」先生は『コロニーの落ちた地で』のコミカライズ作家。

 

雑誌「ガンダムA」系のガンダム・スピンオフ、特にUCものはサンライズの厳しいチェックが入ってるイメージですが、

『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』19巻より(Ark Performance/KADOKAWA)

 

アムロとシャアに関してはそもそも「描いて良い」作品が割りと希少なイメージ。

ガンダム・スピンオフのクオリティは作劇・作画ともに玉石混合ですが、

逆襲のシャアは最高という人は多いけどF91が最高という人がいない理由

なんだかんだ言って結局アムロとシャアが好きってのはあります

2019/09/17 10:24

b.hatena.ne.jp

この作品は作劇はテーマで得してて(タイトルに「アムロ」入れると売れるだろうな)、作画も「トップ層ではないが平均よりはずっと上」という感じ。

女子大生キッカもなかなかチャーミング&セクシー。

『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー』3巻より(才谷ウメタロウ/大脇千尋/KADOKAWA)

今巻のインタビュー相手は、前巻最後の仕掛かりから、

カレン・ラッセル こと ベルトーチカ・イルマ

カトー(アナハイム・エレクトロニクス キャリフォルニア支社 セールス担当)

オクトバー・サラン(アナハイム・エレクトロニクス 技師)

ベルトーチカ→カトーのシリーズで、カラバ時代のアムロの動向が明らかに。

特にカトーの話は、TVシリーズ本編のカメラの前からフェードアウトしていったカラバ後期時代のアムロと、MSVやゲーム等の各種メディアにおける(匂わせ)諸説を踏襲して繋いだ形になりました。

dic.pixiv.net

ガンダム関連のメディアを全部追っかけてるわけではない(不可能では?)自分にとっては初耳の話も多く、興味深く読みました。ほへぇ〜。

ベルトーチカに関しては自分も訊いてみたいことがいくつかあって、

・最初からアムロ目当てでアウドムラに近づいたのか

・アムロとは、いつ、なんで、別れたのか

・その後、ベルトーチカはどう生きてきたのか

などなど。

『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー』3巻より(才谷ウメタロウ/大脇千尋/KADOKAWA)

ベルトーチカに関しては、富野由悠季による『逆シャア』原作小説の初稿『ベルトーチカ・チルドレン』において、「シャアの反乱」の頃にはアムロの子を妊娠しつつ戦場に帯同していた設定でしたが、『ベルチカ』自体が没というかパラレル扱いになって、『Z』終盤以降のベルトーチカの動向が不明になっていました。

本コミカライズも、当然もはや富野由悠季の手を離れて久しい後付け設定の積み重ねの上に描かれるものですが、それはそれとして。

自分の疑問をキッカがすべて訊いてくれたわけではなかったですし、ベルトーチカもすべてに直球で回答したわけでもなかったですし、事前の予想を大きく覆す内容では決してなかったですが、その分、妥当であろうと納得のいくものでした。

ベルトーチカってウザ系キャラの割りに、「ガンダム三大悪女」みたいなのにあんま名前が挙がらないイメージあります。

『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー』3巻より(才谷ウメタロウ/大脇千尋/KADOKAWA)

なんか、超人オリンピックみたいなMSパイロット・ヒロインたちの中で、MSの操縦もできないニュータイプ能力もない(?)「普通の女」が一生懸命に生きてて、可愛かったよね。

これ読んでまた少し、ベルトーチカが好きになったわ。

キッカの旅は次巻から宇宙へ、とのことです。

ちょっと主人公ヒロイン・キッカの影が薄いんですけど、狂言回しというか、作品の建て付け的にしょうがないね。

『機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー』3巻より(才谷ウメタロウ/大脇千尋/KADOKAWA)

「宇宙へ」とのことで、自分も「キッカの活躍」よりも「あんな人や、こんな人が登場してほしい」と、そっちばっか考えてしまうw

次巻も楽しみだ。

 

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