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あ、今日読んだ漫画

#メダリスト 11巻 評論(ネタバレ注意)

現役時代を不完全燃焼で終えた新米コーチ・明浦路 司(あけうらじ つかさ)(26歳♂)が、高い身体能力を持ち競技への情熱を燃やす小学5年生の少女・結束(ゆいづか) いのりと出会う、フィギュアスケートもの。

基本シリアス進行ながらこまめにコメディで空気を抜いてくれて、エモくて泣けるのと同時に読んでて楽しく、読みやすい。

氷上で火花を散らすというより火を吹くようなライバル関係なのに、リンクを降りるとツンデレほのぼの仲良しコメディなの、良いですよね。

『メダリスト』11巻(つるまいかだ/講談社)

アニメ化決定済み。楽しみですね。

講談社「アフタヌーン」作品であるにも関わらず、「講談社漫画賞」より先に他社の「小学館漫画賞」を受賞してしまう珍現象も発生。

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前々巻で「小学生編」≒「ノービス編」が終わり、前巻から「中学生編」≒「ジュニア編」。

準備し尽くして臨んだ全日本ノービスAでの会心のジャンプ・滑走にも関わらず、ルールとスコアでは表彰台に及ばなかったいのり。

しかし、同世代内の選手や指導者の間では「脅威の急成長株」として注目され「強化選手B」に選ばれて臨む、ジュニア編。

前巻の代表強化合宿を経て、今巻は「試合巻」。

『メダリスト』11巻(つるまいかだ/講談社)

地上波で放送されるようなオリンピックや世界選手権など、「頂点」を決めるような大きな大会時しかフィギュアスケートのTV観戦をしない程度の、ライト観戦者なので知らなかったんですが、世界各地で開催されるGP戦て、(日本フィギュアスケート)協会が本人の生活の都合も考慮の上で、振り分けて「派遣」するんですね。知らんかった。

というわけで、いのりのジュニア初戦の舞台はタイ。

協会から派遣されたのは、男子選手が2名、そして女子選手はいのりと、ジュニア世界王者・岡崎いるかだった。

今巻は「いるか巻」と言って良いぐらい、出番が多く、キャラの背景も掘り下げられ、そしてすべての出番で魅力的に描かれていました。

『メダリスト』11巻(つるまいかだ/講談社)

そして描かれる愛憎や言動が、いちいちほんのり百合っぽいw

この作品については、毎巻「あー面白い漫画を読んだ」と読後の満足度が非常に高くて感心してしまいます。

見せ場を作るとかそういう話ではなくて、シリアスにしろコメディにしろ、キャラの喜怒哀楽の振幅が激しくて、舞台演技的というか、悪い言い方をすると「いちいち大袈裟」なんですよね。

現実ではこんなに喜怒哀楽を激しく表現されません。作中ですら、

『メダリスト』11巻(つるまいかだ/講談社)

司先生の喜怒哀楽は他キャラからドン引きされてるしw

でも良い言い方をするととても「舞台映え」「漫画映え」をして、観る者・読む者の感情を引き摺り込む。

とかってことなんかな、と思ったんですけど、ちょっとこのコマで納得してしまいました。

『メダリスト』11巻(つるまいかだ/講談社)

「難易度だけで勝負しない」

「技を磨きデコレーションする美しさ」

フィギュアスケートも漫画も一緒というか、あらゆる表現活動において至言だし、こういうこと、「表現を磨きデコレーションする美しさ」を意識して描かれた漫画だったらそりゃ面白いよな、と。

けっこう「得意武器の一点突破」しがちなんですよね。「発想」だけでラクしようとしたりね。

「こんなに〜なのに、なんで評価されないんだ」

あらゆるジャンルで繰り返し吐かれる言葉なんですけど、人の感情を動かしてなんぼの世界では「視野」、「着眼」、「発想」、「設定」、「技術」、「展開」、「表現」、「速度」、「力」、「量」、あとなんだろな。

あらゆる要素に手を抜かないことこそが表現の王道で、「漫画って総合芸術なんだなあ」って思いました。

「神は細部に宿る」とかも言いますけど、ディティールが重要なのは、芸術やスポーツに限らず、文章、SNSの投稿からブログまで一緒なんですよね。

『メダリスト』11巻(つるまいかだ/講談社)

などということを、女子フィギュアに対する「ローティーンの軽さが有利なんじゃないか」という自分の偏見を、漫画ながら「情熱なんて在って当たり前」、「ハイティーンの筋力と技術と表現力」で力づくでねじ伏せる、いるかちゃんが活躍する今巻を読んで思いました。

 

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