可愛らしいキャラ、メガネ少女のリコとメカ少年のレグが、作者の業を叩きつけたようなエグくてグロい目に遭いながら「アビス」と呼ばれる大地の大穴を潜る冒険もの。
山田玲司のYOTUBEの番組に作者が出演して、作品の、というか創作の、というか描く動機を本人が語っているんですが、
youtu.be
「ゲームってゲームオーバーがあるじゃないですか
俺ゲームオーバーの先が見たいんですよ」
「自分で描けば見れるんで」
だそうで、「ゲームオーバー(バッドエンド)の先」が見たいって、「エンディング(ハッピーエンド)の先」を描く『葬送のフリーレン』の真逆というか、対になってんだな、と思いました。
aqm.hatenablog.jp
むしろ『メイドインアビス』の方が連載開始は先ですし、「ハッピーエンドの先」の作品は『フリーレン』以外にも近年たくさんあるんですけど。
だからなんだ、という話ではあるんですけど、「ゲームオーバー(バッドエンド)の先が見たい」という動機で描かれている作品だ、というのは先の展開や未だ開示されていない伏線の結末を占う上で、いろいろとアレですね。
近刊2冊は、「成れ果て村」編の完結を受けて、リコ、レグ、ナナチにファプタを加えた4人のこの作品にしては比較的平穏な旅路、出会った神秘卿が率いる探窟隊「呪詛船団」とのエピソード、繋ぎと伏線のこの作品としては和やかで平和な巻でした。
共同戦線、そして第七層突入へ。
前々巻で提示された謎・伏線・フレーバー予告のメインは
■枢機の輪
■未知の白笛
■巫女とは?(クラヴァリとテパステの仲間?)
■クラヴァリが隠していたもの「置き土産」とハボルグの顛末
■地上で起こっていること
サブは
■ライザの鏡文字
■アビスの時間の流れ、「時間も固まりやすい」
■ファプタが見た「重なったもの」
■テパステの回想シーン以降、現在に至る経緯
■既知で未登場の最後の白笛ワクナ(巫女関連?)
■なぜ呪詛船団は「巫女」を敵視しているのか
前巻で更に
メイン
■巫女の撒き餌
■獣相を秘匿される理由、「探窟史の恥部」
■ハリヨマリ集の謎、巫女の共著者
■ヒトガタの影、少女型
■「君も友達もこうなっちゃう」
サブ
■獣相の本性、神秘卿が隊を獣相で固めた経緯
■神秘卿の持つ遺物と、成し得た禁忌
■神秘卿と黎明卿の対峙はリコたちが通った前か後か
■ニシャゴラの盾の強さの原理
■「何故かみんな同じ名前」
という感じで、進展という意味では体制と伏線が整って、表面上は平和な巻が2冊続くと、先が怖いね…というところで、今巻から「いざ、第七層!」。
過去巻の伏線や謎が解明されることのないまま、白笛・神秘卿との会話劇でアビスの謎の一端がおぼろげながらもいきなり開示されたと思ったら、突然の大ピンチからの異能力アクション展開!
とカマしてくる13巻。
半分は、主人公パーティと共同戦線を組むことになった神秘卿率いるパーティ「呪詛船団」の、能力の顔見世。
過去最深・最深層とされる第七層なんで、脅威レベルも当然、過去最高に過去最悪、過去最凶なんでしょうけど、もうアレですね、環境が「いま起こったことをありのままに話すぜ」状態w
花京院に時計台を破壊してもらわないと理解できないレベルw
こうアレなんですかね、今巻の表紙でもこんなに可愛く描かれたナナチは、「可哀想ヒロイン枠」というか、作者の業というかサディズムの標的にされてる感も。
このヒゲヤロー、ナナチいじめんな!
呪詛船団、かっこええなー。
ベタな予想が当たる漫画でもないので、アビスの謎も、次巻の展開も自分はまだよくわかりませんけど、こんなところで次巻に続かれて、読まないわけにいくわけねえよな、という。
そういえば、白笛たる神秘卿すら動けなかった「あの瞬間」に、なんでナナチだけが反応できたんだろ。
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