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あ、今日読んだ漫画

#だんドーン 5巻 評論(ネタバレ注意)

表紙は中村半次郎(後の陸軍少将・桐野利秋)。

西郷隆盛ほどではないものの、池波正太郎『人斬り半次郎』

以下、たびたび小説のモチーフになった他、幕末ものの小説・映画・TVドラマに登場する剣豪。

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漫画だと『修羅の刻』の幕末編にも登場してましたね。

『修羅の刻』2巻より(川原正敏/講談社)

今巻中の作者のエッセイによると、『だんドーン』の主人公を川路にするか中村にするか、最後まで迷ったんだそうです。

モーニング誌で連載、TVアニメ化・TVドラマ化もされるなど好評のうちに第一部が完結した、

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『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』作者・泰三子の新作。

『だんドーン』5巻より(泰三子/講談社)

幕末、黒船の来航によって徳川260年の治世の太平は破られ、幕府を頂点とした武士階級による国論は割れ、それは将軍位の継承問題にも及んだ。

後の徳川慶喜を推す一橋派の急先鋒、薩摩藩主の島津斉彬は、茫洋とし空気が読めないながら大器の片鱗を感じさせる藩士・西郷吉之助を西洋の英雄・ナポレオンになぞらえ、新時代の日本のリーダーとなってくれることを期待し重用。

動乱の時代の重要人物として徐々に頭角を表し、幕府や他藩からも警戒される存在となりつつあった西郷の、そのサポート役として白羽の矢が立ったのは、西郷と同じく賢君・斉彬公に心酔し、目端が効いて空気も読めて、悪いことも考えられちゃうツッコミ役の便利マン藩士・川路正之進。

『だんドーン』5巻より(泰三子/講談社)

後の明治政府下における初代の大警視(警視総監)、川路利良その人だった。

動乱の時代、果たして川路は斉彬公の命のもと、西郷吉之助のサポート役として日本を近代化に導くことができるのか…

薩摩藩士から幕末を経て明治初期に維新政府の要職を務め、「近代警察の父」「日本警察の父」渾名され、その語録が未だ警察官のバイブルとして読み継がれる、史実の人物・川路利良の伝記フィクション。

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漫画好き向けにメジャー作品を使って説明しようとすれば、『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―』で「斎藤一の上司の警視総監だった人」という説明がわかりやすいでしょう。

『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―』7巻(和月伸宏/集英社)

小柄で封建的な役人然として描かれてはいるものの、元・新撰組の斎藤一を怒鳴りつけ、喧嘩番長の左之助と胸ぐらを掴み合うなど、レギュラーで武闘派の大男相手に怯む様子のない、気骨のあるおっさんとして描かれました。デコッパゲてw

史書に残っていない人物の性格や言動のディティールは、作家の癖・好み・エンタメサービス精神に基づいた想像で「面白おかしく」補完されるフィクション。

年表に準拠したシリアス・イベントの間を、『ハコヅメ』以来の軽妙なコミカルな会話劇のギャグコメディで埋めていく作風。

硬くなりがちな歴史フィクションを、キャラ中心に楽しく読める工夫がなされつつも、『ハコヅメ』で見せていた「社会や組織、人間の闇」は時代性もあってより濃くなっています。

自分は出身が鹿児島なのと、司馬遼太郎をひと通り履修済みなので、毎度お馴染み郷土の有名人たちが活躍するお話、楽しく読めてます。

『だんドーン』5巻より(泰三子/講談社)

安政の大獄により改革派である「一橋派」は弾圧され、特に藩主までもが蟄居を命じられ、多くの藩士を失った水戸藩の過激派たちは、大老の暗殺を計画。

「桜田門外ノ変」により大老・井伊直弼が暗殺されたことにより、日本は一気に「幕末」の混沌へと身を投じることとなった。

ということで、前巻で激動イベント「桜田門外ノ変」編が終結、今巻はその1年10ヶ月後から。

薩摩藩主・島津久光の上洛を控え、藩上層部は兵糧の確保のため、長州花・下関から大量の米の調達。

その代金として24,500両に相当する金塊の隠密での輸送が課題となった。

家老候補の重鎮・小松帯刀が

「絶対に裏切らないこと」

「剣の腕が立つこと」

の二つの条件をクリアする人材として白羽の矢を立てたのは、毎度お馴染み便利マン・川路正之進と、吉野山の暴れ者・後の「人斬り半次郎」こと中村半次郎の二人だった。

『だんドーン』5巻より(泰三子/講談社)

緩衝材役として同行することになったポニテ美少年の太郎くんとの三人は、金塊を抱えて無事縦断できるのか…

人吉・熊本・阿蘇と、後の西南戦争の激戦地となる地域を、その西南戦争で敵味方に分かれて戦う若き日の川路と桐野(中村)の珍道中風エピソード。

以前の巻で高僧・月照を抱えて入水したキャラが、凝った髪型の割りに無名だったので「はて?」と思ってたんですが、あれが半次郎だったんですね。

「四大人斬り」のもう一人も今巻登場。

『だんドーン』5巻より(泰三子/講談社)

ただでさえ女っ気の少ないところに、数少ない重要女性キャラ・タカも退場?して、女っ気が皆無になったところ、ポニテ美少年の太郎くんがきゃわわで、萌え枠を独占というか一人で背負うというか、作品自体の「お稚児さん」みたいなポジションにw

巻の後半は、幕末を主導する「薩長土肥」のうち中国地方の雄、長州藩の松下村塾門下の若き英才たちが登場。

さっそく個性的なメンツで薩摩の面々との対面が楽しみなのと、

『だんドーン』5巻より(泰三子/講談社)

桂小五郎がどう考えても気苦労を背負い込む相とポジションで、既にしてなんか可哀想。

 

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