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あ、今日読んだ漫画

#クマ撃ちの女 14巻 評論(ネタバレ注意)

熊狙いのライフル持ち*1女性猟師・チアキ(31)に密着取材を申し込むフリーライター・伊藤。

2人は熊を求めて日々、北海道の山中に入る。

『クマ撃ちの女』14巻より(安島薮太/新潮社)

伊藤が取材を始めて2回目の猟期。伊藤も体を鍛え知識を蓄え、チアキの足を引っ張る事なくむしろアシストさえしながら同行取材できるように。

チアキにとっての因縁・宿命のヒグマ個体「牙欠け」との対峙を通じて、伊藤はチアキの「牙欠け」への妄執と狂気、人間性の欠如に疑問を持ち離れていく。

牙欠けが再び人を殺したとの一報に、チアキは地元の猟友会・市職員・警官隊からなる捜索隊に加わり、ヒグマ「牙欠け」と2人の行方不明者を追ったものの、「牙欠け」を自分の手で仕留めたい、という妄執は、チアキの能力を鋭敏にした反面、突出したその能力は捜索隊のチームワークを乱し、結果、捜索隊に複数の犠牲者が出る大惨事となり、猟友会で世話になった北見さんも犠牲となった…

『クマ撃ちの女』14巻より(安島薮太/新潮社)

伊藤と再会・復縁し再び二人で「牙欠け」を追い始めたものの、多数の犠牲者を出した「牙欠け」駆除失敗は大事件として日本中に報道され、チアキの責任を巡って週刊誌の記者が動き始めていた…

ということで、今巻は「炎上編」。

現実の方でも野生のクマの駆除問題はローカルな話ながら、近年は社会的な関心や「炎上性」も高いですもんね。

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週刊誌の記事を皮切りに、SNS、地上波の全国放送、YouTuberの凸と、複合的に炎上していく、「牙欠け」被害と駆除失敗に関するチアキの責任論。

『クマ撃ちの女』14巻より(安島薮太/新潮社)

皮肉にもその炎上の情報源の一つは、チアキを伊藤が取材し出版した実名ドキュメンタリー本だった…

「山の人」とはいえチアキは普通にスマホも持ってるし東京でOL経験もあって、「ネットリテラシー」は人並みだとは思うんですが、山の中では図太くタフな性格とはいえ、「ネットの人」ではないので「炎上耐性」でいえば防御力ゼロというか。

もともと猟師としても一匹狼でキレやすくて協調性もあんまないし、山の中で自然相手・動物相手だからこそ世間に表面化しなかっただけで、「炎上しそうな性格」ですしね。

『クマ撃ちの女』14巻より(安島薮太/新潮社)

防御力ゼロのところに人生初の、しかも全国規模・地上波テレビレベルの大炎上でメンタル凹みまくりですが、長かった曇らせ展開も今巻で悪材料も出尽くして底を打ったかな、という感じ。

ここからは「牙欠け」を仕留めるクライマックスと完結に向けて昇っていくだけ、なのかな?

メンタルも既に復調の兆し。

『クマ撃ちの女』14巻より(安島薮太/新潮社)

現場の大勢は「チアキ支持」、ネット世論の趨勢は「牙欠け駆除」次第でどうにでもひっくり返せそうですが、作者がそもそもネット世論の価値に重きを置いてなさそうっぽい感じもしますね。

あとはアレ、「『人』という字は…」という道徳論とはちょっと違う、

「結局、一匹狼より集団で連携した方が効率いいよね」

という。

チアキの強みも、射撃よりも、場数とセンスによるレーダー・センサーとしての(クマの)索敵の「頭脳労働」なので、メンバーを操る現場リーダー向きですよね。

『クマ撃ちの女』14巻より(安島薮太/新潮社)

性格以外はw

 

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*1:猟銃免許取得後、散弾銃所持10年以上が必要