
双頭ヒロインを差し置いて、この子が先に表紙を飾るんだ。
まあ、内容的に、そうなるな。

『灰仭巫覡』3巻より(大暮維人/講談社)
現代から少し未来?、何らかの理由で科学が衰退?した代わりに、巫覡(ふげき、シャーマニズム)によって?それまで見えていなかったものが視えるようになった?世界。
それまで「天災」としか認識されていなかった現象が、神(あるいは化物?あるいは妖怪?)の怒りの顕現であることが、暗闇を伴って人間に視えるようになった。
「夜」と呼ばれるようになったソレと、人類は科学技術に替わる新たな技術体系・巫覡(など?)で闘う。
大英帝国の第3皇子・ガオは、英国・イーストボーン、オルドナス要塞での「颱の夜・キャサリン」との戦闘から、母に逃がされる形で脱出。
母の最期の言葉に従い日本に向かったSF宇宙艦風の武装タンカー艦は、しかし、颱の夜の追撃を受けて田舎の平野部に不時着。

『灰仭巫覡』3巻より(大暮維人/講談社)
そこで出会ったのは、理不尽を引き寄せる「巫覡魂」という霊質と強い巫覡力を持ち、怒れる神を祓う「燠火の神楽兵」の巫覡(パイロット)を務める少年・仭(じん)と、その仲間の少女たちだった。
艦の不時着事故が仭の母親を死なせてしまったガオ一行は、そのまま日本に居つき、仭たちの高校に通いつつ、仭たちと共に次々に現れる「夜」と闘っていく…
オリジナルの用語と設定の上に更にオリジナルの用語と設定が積み重ねられ、「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」みたいになってて意味がわからないかもしれませんが、まとめるとこういう感じです。
絵が綺麗!女の子可愛い!絵がもの凄い!バディもの!神楽の舞がかっこいい!田舎の夏!青空!入道雲!美少女!フェチ!猫!変なギャグセンス!絵がもの凄い!
で、とりあえず変身ヒーローもののように楽しんで良いかと思います、まだ。

『灰仭巫覡』3巻より(大暮維人/講談社)
前作『化物語』コミカライズに続いて「オカルト・バトル」分野ですが、「災害」を受肉・顕現させて折伏・調伏すべき敵?に定めているのが、大震災などを経た21世紀的、と言っても良いかもしれません。
あと主人公の少年2人とも、直近に母親を喪失してますね。
西洋的で物質的で電子的で戦闘的な世界観思想の限界、再興する東洋的で精神的で量子的で融和的な世界観を目指す思想。
近年は「スピリチュアル」というと悪用する人間のせいで少々イメージ悪いですが、「言魂(言霊)」「厄」「荒魂」「祟り」「鎮めと祓い」「舞・神楽」、「神道的」と呼んでいいのかな、そういう感じです。
「邪と戦うのではなく、鎮め祓う」
東洋的なファンタジーは往々にして精神的な禅問答に行き着いて、漫画映えしにくいことがあるんですが、バトル描写の代わりに本作で描かれるのは大暮維人の作画による、美少年・美少女たちによるド派手で美麗な「舞・神楽」描写!

『灰仭巫覡』3巻より(大暮維人/講談社)
「ダンス漫画」とカテゴリしても差し支えない、というより、ダンス漫画の「ムラサキ」が神事の再現としての側面が描かれたのに対し、
aqm.hatenablog.jp
本作はファンタジーを口実にダンスを直球の神事そのものを描いてます。
巫女も踊り子も、神秘的で美しい、その両方、みたいな。
夏休み映画のような牧歌的で美しい田舎を舞台に、SFメカとオカルトクリーチャーがカオスに共存、エロ美しい美少年・美少女たちがド派手に美麗に舞い踊る、オカルトバトル&ダンス、大暮維人の筆によるエンタメ大作な王道青春漫画。
大量の登場人物、スピリチュアルでカオスで作者の匙加減次第の世界観、序盤で「絵は綺麗だけど厨二病的で難解で衒学的でごちゃごちゃしてて何やってるかよくわかんない作品」と受け取られ「ついていけない」と敬遠されかねない危惧は感じます。
今巻は、前巻の続き、封印した夜たちを浄め祓う「大祓の祭り」本番。

『灰仭巫覡』3巻より(大暮維人/講談社)
巫覡見習い・縁の気の迷いが原因で祭り直前に脱走した特定危険指定災害「鎌鼬の夜」、魂を刈り取られ連れて行かれたフユ。
「大祓の祭り」の裏で、縁は命を賭けて「鎌鼬の夜」を再び封神し、フユの魂を取り戻すことを誓う。
今巻も相変わらず超絶ビジュアル、美男美女の少年少女たちがエロくフェチく踊りたくるアクション展開。
その他、「かまいたちの夜」の名前被せにいってんねとか、人間にツンデレなかまいたちが『うしおととら』のかまいたちを思い出すねとか。
ああ、「牧歌的な日本の田舎」と思っていた仭たちの町が滅びた後の●●だった、プチ・ポスト・アポカリプス設定とか。
超絶ビジュアルに押されるように深読み・裏読みしたくなる漫画ですけど、ストーリー自体はシンプルで、
「神事の美しさを自分の技量の粋を極めて再現したい」、
割りとピュアな動機で描かれてる作品のように思います。
自分は楽しく読んでます。

『灰仭巫覡』3巻より(大暮維人/講談社)
「考えるな、感じろ」
はまあ、感想を語る上で作品と向き合って言語化する責任の、放棄かもしれませんがw
人間は結局、男女を問わず美しく描かれた人間に惹かれるというのは、なんかちょっと種族的ナルシシズムなのかなあ、などとトンチキなことを少し考えた。
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