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#姫様“拷問”の時間です 10巻 評論(ネタバレ注意)

国王軍と魔王軍が衝突する世界。

国王軍の王女にして第三騎士団の団長・姫は、意思を持つ聖剣エクス(ツッコミ役)と共に魔王軍に囚われの身となった。

戦局を有利に導くべく、魔王軍はあらゆる手を使って敵の幹部である姫から秘密の情報を引き出そうとする…

という、ファンタジー世界を舞台にしたゆるーいコメディ漫画。

『姫様“拷問”の時間です』10巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

自分で開けれるんかーい。

タイトルにも作中のセリフにも「拷問」という物騒な単語が踊りますが、中身はストレスなしのギャグコメディ。半分は実質グルメ漫画。

あとはもう黄金のワンパターンの手を変え品を変えの繰り返し。牧歌的で微笑ましい馴れ合いの世界。登場人物が全員なにかしらポンコツです。

『姫様“拷問”の時間です』10巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

拷問を喜ぶんかーい。

原作担当はこの作品の以前にマガジン系で『佐伯さんは眠ってる』という、睡眠好きの美少女があの手この手で見つからないように居眠りをするだけの日常ラブコメを書いてましたが、

aqm.hatenablog.jp

2作品にしか触れていませんが、ワンイシュー・ワンパターンですぐ飽きられるはずの定型フォーマットをあの手この手でバリエーションを持たせることに血道を上げる作風。

毎話すべての登場人物の言動が本末転倒なのに、全員が本末転倒であるが故に調和してしまっていて「その手があったか」「そんなのアリなのか」「一体なにを読まされているんだ」と驚きと唸りと笑いで迎えられる作品。

『姫様“拷問”の時間です』10巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

実際そうなんかーい。

世の中ワンイシュー・ワンアイデアで始まってネタが続かなかったり飽きられたりで早期に完結する作品も少なくない中、本作は「なんじゃそら拷問」ネタを擦り続けて今巻で節目の10巻、「このネタで二桁巻数いっちゃうんだなあ…」とw

と、原作者の発想やセリフのキレに着目されることが多い作品なんですけど、超「当たり作画」ですよねコレ。

『姫様“拷問”の時間です』10巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

ネームの時点で面白いのに更に絵で笑わせられるのズルいよねw

原作者の前作『佐伯さん』もとても女の子が可愛らしい「当たり作画」でしたけど、本作もキャラデザ含めて優しく可愛らしい世界を過不足なく、精緻にいっぱい描き込むでもなくけっこう画面も白いんですけど漫画として必要十分、微妙で繊細な表情やしぐさの表現、演出意図を増幅してくれるとてもハイクオリティな作画。

『姫様“拷問”の時間です』10巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

ジャンプ周りの「当たり作画」の第一人者、『デスノート』『ヒカルの碁』などの小畑健を思い出すなあ、などと思いつつ作画の"ひらけい"先生のWikipediaを読んでみたら、

ガリョキンProの講評で審査員の小畑健から「完成度」と「キャラ」の「動き」「しぐさ」が評価された。
(2022年10月4日のWikipediaより)

ja.wikipedia.org

と書かれていて、さもありなん、という。

「こんなうまい人どこに居たの」と思ったらまだデビュー6年目なんですね。

読み返すと1巻の頃より更に絵ぇ上手くなってますよね。

『姫様“拷問”の時間です』10巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

いいなあこれ、俺が死ぬまでずっと続いてほしいなあ。

 

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