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#生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい ~輪環の魔法薬~ 2巻 評論(ネタバレ注意)

「なろう」のコミカライズ。

一度コミカライズされて2巻まで出てたんですが、

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コミカライズ作画家の体調不良により打ち切り、その続きを作画家とタイトルをちょっと変えてリブートしての再度の2巻なので、今巻が実質4巻。

内容的には前コミカライズの続きから連続してる、ちょっと気の利いた引き継ぎ方。 

平凡な錬金術師が200年寝てたら超レアスキル持ちになってた件。

『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい ~輪環の魔法薬~』2巻より(小原彩/のの原兎太/ox/KADOKAWA)

中世ファンタジーの要塞都市でポーション作りで細々生計を立ててたヒロインが魔の森のスタンピード(なんか大災害)に際して地下室で結界張って仮死状態魔法で災害をやり過ごしたら地下室酸欠につきそのまま200年経って起きたら錬金術もポーション作りも絶えた時代だったのでウハウハなチートもの。

要は錬金術が絶滅した世界でポーションを生産できる唯一の錬金術師。

『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい ~輪環の魔法薬~』2巻より(小原彩/のの原兎太/ox/KADOKAWA)

彼女の望みは、ダンジョンを攻略する軍に囲われてポーションを作り続けて地位と名誉を得ることではなく、街で薬師としてひっそりと暮らしながらポーション作りで人々の暮らしの役に立つことだった。

ポーションの密造をやっていて、周囲のイケメンの関係者はそれに気づいたり黙認したりとかしながら、遠巻きに彼女をチヤホヤする、マイルドに乙女ゲーっぽい。

『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい ~輪環の魔法薬~』2巻より(小原彩/のの原兎太/ox/KADOKAWA)

世界観が割りと作り込まれていること、登場人物たちがみんな割りと「大人の対応」であること、もともと少女向けだった作画も女性向けになったこと、「なろう」らしくチートで無双?ではあるもののチヤホヤの描写が抑え目で読みやすいなど、エロ的な意味じゃない「大人向け」という感じ。

今巻の展開もモチーフは重ためで「チートで楽勝なほのぼの日常」とは程遠く、奴隷の人身売買、錬金術の人体実験、生きることの孤独など、テーマが物騒でダークネスというか、『幽遊白書』の「黒の章」みたいな話が続きます。

『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい ~輪環の魔法薬~』2巻より(小原彩/のの原兎太/ox/KADOKAWA)

「悪役」というより、「人間は怖い」という。

そういうお話がずっと淡々と展開されて描写されてて、なんか面白い読み味ですよねコレ。300年スライム狩って美少女たちが癒し系キャッキャウフフの、正反対というか、

人間が行う非道も陰謀も差別も、それを行なった「悪役」が追い詰められ裁かれ罰せられる様子も、大騒ぎせずにずーっと「日常もの」らしく淡々としていて、ボケーっと読んでたら雰囲気は日常ものなんですけど、「割りとずっと怖い話描いてね?」という。

『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい ~輪環の魔法薬~』2巻より(小原彩/のの原兎太/ox/KADOKAWA)

「死がそこにある日常」、「理不尽がそこにある日常」の「日常もの」というか、美少女チート主人公の「なろうファンタジーもの」なのに、淡々と犯罪が描かれ淡々と取り締られる、「毎日死体見てまーす」的なハードボイルドな警察ものや戦場ものの日常みたいだな、という。

まあ普通に静かに暮らせる人は、わざわざ「静かに暮らしたい」って言わないですもんね。

 

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