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あ、今日読んだ漫画

#主君と旅する幾つかの心得 1巻 評論(ネタバレ注意)

銀河のあまたの星ぼしが群雄割拠な勢力たちに統治される宇宙。

『主君と旅する幾つかの心得』1巻より(速水螺旋人/白泉社)

銀河帝国の名門、ケモ耳が特徴のメリークリスマス公爵家の6女・メルガレッタは、20人ぐらいいる兄弟姉妹たちの家督後継争いに嫌気が差したのか、実家を出て独立、無位無冠。

うらぶれたアステロイド興業騎士団に身を寄せ、なりゆきで参戦した戦争で敵国の英雄をマグレで討ち取り、皇帝直々に帝国男爵位を授けられたものの、財政の厳しい帝国からは所領も年金も下賜されず、「名ばかり男爵」の不遇をかこつ。

『主君と旅する幾つかの心得』1巻より(速水螺旋人/白泉社)

演算アンドロイドと"生体かばん"の二人を従えて、「何でも屋騎士」として報酬を求めて今日も銀河を西へ東へ。

という、速水螺旋人の、主人公固定・単話完結エピソードのスペースオペラ?SFコメディ短編連作。

「SF」も「スペースオペラ」も定義論がややこしくめんどくさいですが、「サイエンス・フィクション」というよりは、「サイエンス&ファンタジー・フィクション」という感じ。

『主君と旅する幾つかの心得』1巻より(速水螺旋人/白泉社)

古き良き少年漫画の香り、どこか牧歌的でレトロで「漫画的」な宇宙と惑星たち、カタカナジャンルより「空想宇宙冒険譚」と形容する方がしっくりきますね。

ケモ耳メガネな主人公ヒロイン、ヴィンテージな演算アンドロイド、有機生体かばんの三人組による万年金欠な、速水螺旋人節が大炸裂な宇宙珍道中。

「有機生体かばん」は「歩く四次元ポケット」みたいなもんですかね。

お説教体質の演算アンドロイドとの二人組で、ドラえもんの機能が2人格に分割されてるっぽい役割分担。

『主君と旅する幾つかの心得』1巻より(速水螺旋人/白泉社)

オスカル様みたいw

宇宙戦争、銀河帝国、貧乏騎士団、宇宙海賊と、スペースオペラの定番モチーフを織り込みつつも、速水螺旋人らしい空想力に満ちた舞台設定といい加減なネーミングセンスw

どこか暢気で間が抜けていて、それでいてどこか皮肉でヒネリの効いたわちゃわちゃドタバタ展開に「トホホ」なオチ、という可愛らしく楽しい空想宇宙冒険譚コメディ。

『水戸黄門』的というのか『大長編ドラえもん』的というのか『ルパン三世』的というのか、舞台が宇宙ファンタジー、惑星ごとに千差万別な環境を転々とする旅情、「地元の神様」的なものまで出てくる「何でもあり」な、

『主君と旅する幾つかの心得』1巻より(速水螺旋人/白泉社)

箱庭(宇宙だけど)世界観を「主人公チームが毎回いろんな事件に遭遇」フォーマットで、経済的な事情が許せば無限に続けられる建て付け。

言われて気づいたけど、「主人公チームが毎回いろんな事件に遭遇」フォーマットって、主人公たちの「欠点・ポンコツ具合」と「それでも譲れない美学・正義感」のバランスが在ってこそ、安心して楽しめるコメディになるんだな、という。

『主君と旅する幾つかの心得』1巻より(速水螺旋人/白泉社)

単巻短編集で終わらせがちな作者が、「1巻」表記が示すとおり珍しく続巻を示唆していて、なんとなく藤子不二雄作品群のような「終わらない代表作」に育てたい意向も感じます。長いお付き合いになることを期待してしまいますね。

てか、宇宙ものはやっぱ良いね。

 

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